126話:カオスエンドワールド
「任務完了」
リリアは愁の頭に弾丸を撃ち込んで動き出さないことを確認してから本部に連絡を入れた。すると本部から帰還命令が来たのでリリアは迷宮を後にしようとした。しかしリリアの表情は突如驚愕に包まれた。それは目の前にいる人物が先程自分が殺した人間であるからである。
「色々と御苦労様。俺が死んだとでも思ってました?」
「……なんで生きてるの?」
「簡単な話ですよ。一度リリアさんに本部に任務完了を伝えてもらって自分が死んでいると思わせといて後はのんびりとした生活を過ごすのが今回の俺の目的。つまい目的を達成するためには、一度自分が死ぬ必要がある。そのために自分の分身を作ってその分身に幻術を掛けて俺に見せたってわけ。御理解いただけましたか?」
「なるほど……わざわざ解説有難う。でも貴方本当に私に勝てるとでも思っているの?」
「逆に俺に勝てるとでも思っているんですか?」
「そりゃーもちろんね」
そう言ってリリアは銃を取り出し愁に向けて4発ほど打ち込む。しかしながら弾丸は全て愁に触れる前に消えてしまった。
「俺が何も対策をしてないとでも思いました?」
そう言って愁は手を掲げてとある魔法を発動させる。
「カオスエンドワールド」
愁が魔法の名前を唱えるとともに愁の手から光が放たれてすぐさま消える。パッと見特に辺りに変化はないがリリアの魔力眼にはとんでもない光景映っていた。
「な、一体あなた何をしたって言うの!?どういう事よ……」
リリアの魔力眼は魔力を目視することが出来るギフトスキルである。つまりは迷宮内においてはある程度魔力が空気中を充満しているために辺り一帯が普通の人間とは違う見え方がする。それなのにリリアの目には特に何も異常がなく普通の光景が見えていた。魔力眼で見ているはずなのに普通の光景が見えている。そう、愁はこの迷宮の階層の魔力をすべて消し去ったのである。
「ようやく理解できたみたいですね。これでお互い魔法は使えなくなりましたね」
「でも貴方武術系統のスキルは持っていない見たいだけどそれで私に勝てるの?」
「誰が武器を使って勝負すると言ったんですか?死霊召喚」
そう言うと愁の周りに3体の死霊が召喚される。
「な、なんで貴方魔力が無いのに魔法が使えるの」
「これは死霊術と言う魔族が使うスキルであって魔法じゃないんですよ?つまり魔力が無くても使えると言うわけです。操霊術」
愁がそう言うと死霊たちがリリア目掛けて殺到する。リリアはそれを剣で切ろうとするが霊的存在である死霊に対して物理攻撃が効くわけでもなくリリアの剣は死霊を通り抜ける。そして死霊はその隙を狙ってリリアの体の中に侵入して憑依した。
「さてリリアさん、今後はあなたには俺の手駒になって貰いますね。まずはその銃を没収しますか」
愁がそう言うとプルプルと震えながらリリアが懐から銃を2丁取り出す。戦闘では1丁しか使っていなかったため、奥の手としてもう1丁用意していたんだと考えられる。もっともその状態であっても愁にはリリアを倒す手段は幾多も存在していた。
「それじゃ、後は本部に戻って嘘の報告をして本部を混乱のどん底に叩き落としてくださいな」
愁が指示を出すとリリアは嫌々ながらと言う雰囲気を醸しながらプルプル震えながら足を迷宮の出口に向けて進めた。その前に愁はしっかりとリリアが所持していたスキル、『魔力眼』、『射撃術Ⅳ』、『鑑定Ⅲ』、『魔力の泉』、『剣術Ⅳ』、『身体強化Ⅳ』、『治癒魔法Ⅲ』を奪っていた。
―――…――…―――
愁が迷宮でリリアを操ってしばらくして、リリアは明けの明星の本部へとたどり着いていた。そして明けの明星の幹部であるリリア含めて4人が集まり報告を始めた。
「冒険者のシュウ クホウインは私の手で殺しました」
「任務完了ですかね?」
天川隼人がボスらしき男に尋ねる。
「そうだな……と言いたいところだがリリア、どうやって殺したんだい?」
「頭に銃弾を撃ち込みました。そうしたら血を流しながら動かなくなりました。それからしばらく動かない事を確認してから本部に対して連絡を入れました」
「ふむ、確かに嘘はついていないな。しかしながらシュウ クホウインはまだ生きているな。なんでだろう?」
ボスの口から出た言葉にリリアを除く2人が驚愕した。特に天川隼人は銃を知っているので、銃弾を頭に受けて生きている奴がこの世界にいること自体に驚いている。
「それとリリア、君の持っている銃を出してくれないかい?」
ボスがリリアにそう尋ねるがリリアは動くことが出来なかった。
「今日は銃を携帯していません。家までとりに戻っても良いでしょうか?」
「そうか、わかった。出来るだけ早く戻ってきてくれ」
ボスがそう言ったのを確認してリリアはボスに対して背を向けた。すると突如リリアの胸から剣が生えて来た。
「え……?」
「リリア。君の意志はすでに死霊に食べつくされている。せめてもの手向けだ。俺がとどめを刺させて貰った」
その言葉を聞いたリリアは意識を失った。
「これで明けの明星の幹部も残すところ俺と隼人とクラリーネだけだな」
その言葉に驚愕の表情を浮かべつつ隼人とクラリーネは相槌を打っていた。
最後まで読んで頂きありがとうございます!
次回は12日頃を予定しています。
本日小説を書きながら聞いていた音楽
・INOCENCE 藍井エイル
・This game 鈴木このみ
・Realization 飛蘭
・片翼のイカロス 榊原ゆい
以下感想の御返事
感想にて何故ハクにワープを頼んだのかと言う疑問がありました。これに関してはまずワープのスキルを使った後魔力切れを起こすかどうかが愁の中で考えられました。まず愁のパーティーで魔力が一番多いのは117話を参考にして貰えればわかりやすいと思いますがハクです。逆に一番少ないのがフィアでフィア自身がワープを使うと約500m移動した程度で魔力切れになります。つまり迷宮の61階層から自宅までの長距離ワープを行うとなると全員無事にと考えるとハクに一任するのが確実と言う事が考えられます。そのため愁がハクに皆を連れて逃げるように指示を出したというわけです。
リリアの三下臭は・・・気にしないで頂けると有難いです!笑
完全に作者のボキャブラリー不足ですorz




