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引力
少年はサッカーが大好きだった。
ただひたすらに、来る日も来る日も練習に明け暮れた。左右両足を使ってのドリブルにシュート、リフティング、ヘディングといったボールを扱う練習はもちろんのこと、1日10キロの走り込みや筋トレ、柔軟、さらには戦術勉強にいたるまで、自分が注げる時間のすべてをサッカーに費やした。ひとえに、ただ上手くなりたいがために。
しかしサッカーの神様は、そんな彼に微笑みかけてくれることはなかった。
才能がない。センスがない。そのようなありきたりな言葉では片付けられないほどに、少年は上手くなれなかった。上達しないのは努力が足りないから。真っ直ぐな心根を持ちながら育ってきた少年は、知恵を絞り、ハードワークを重ね、時には周囲の人間に頼りながら一層の努力を重ね続けた。それでも一向に上手くなれなかった。サッカーが上手いと周囲に認められるための能力の一切が欠けていた。たったひとつ、少年自身もどのように活かせばよいか解りかねるひとつの力を除いては。
この話は、そんな少年に引き寄せられるように集まった仲間たち、そして地球に向かって真っ直ぐに落ちていくボールについての物語だ。




