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短編の間#5- 包み隠さず、中まで美味い

作者: 鈴之矢行真
掲載日:2026/02/05

大学生の染谷慎也は子供のころから偏食な所があった。

誰にもバレず、大人の階段を上ってきたが、ある日同級生の相葉誠と中華料理屋に行くことになった。

俺は今、背中に汗を隠している。

今は誠の話が一切入ってこない。ここまで守り抜いてきた化けの皮が剝がれそうだ。


俺はガキの頃から、飯の皮が好きだった。餃子の皮に、ピザの耳。おにぎりの海苔とかそういったやつだ。


家では皮だけ食って残りは弟や両親に食ってもらってた。


中身が嫌いではない。周りの所が強烈に好きなんだ。


一人の時にこいつらは食べられない。他人には尚更見せられない。


見せたら、異様に聞いてくるだろうし、どうせ中身のない奴だとか馬鹿にされる。


誠は良き友人だが、それでも見せたくない。


餃子がテーブルに届く。


食べないの?心に刺さる。どう思われてもいいやと箸で皮を開き、中身を取り出す。


「食べれないものあった?ごめん。先に聞けばよかったね。」


良いんだ。誠…。汁の残った皮を一目散に口へ運んだ。


ビビりながら彼の顔を見た。当然驚いていた。呆れられたんだ。


「中身も美味しいよ。」


「馬鹿にしないのか…。明らかにおかしいだろ。」


「しないよ。好きなんでしょ、その食べ方。もし、中身が苦手じゃないんだったらそっちもどうぞ。」


正直、遠ざけていた中身を嫌いになっていると思った。食べなくてもそんな気がしてた。


震えた箸でパクっと一口。なぜか涙が零れてきそうだった。美味い…。


こんな俺を肯定してくれた人がいるのに、なんて俺は表面的な男だったんだ…。


次の一口は大きく、どこか複雑で豊かな味だった。


むしゃむしゃ頬張る俺を見つめる彼の笑顔がとても印象的だった。


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