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「……本当に……陽なの?」
思わず言葉が口から漏れる。
目の前の幼い少女はニコリと笑う。
「そうだよ。陽だよ」
「いつものぬいぐるみの姿じゃ、あかりちゃんを抱きしめてあげられないから……私、頑張ったの」
やさしく頭を撫でながら囁いてくる陽。
まるでお母さんみたいな優しい手。体が大きくなって、こうやって逃げてからは触れられなかった手……
「あかりちゃん。泣こう? 大丈夫。ここには私しかいないから。今は泣いていいよ」
「我慢しなくていいんだよ。今なら涙を拭えるから」
堰を切ったように涙が溢れる。抑えようとしても嗚咽が漏れる。
あぁ……私、泣きたかったんだ。
「しおりちゃん……がねっ……無視しよって……ゆいちゃんを無視しよって……言うの。でもっ……友達だから……出来なかったのっ……そうしたら……私が悪いことにされたのっ……私が、ゆいちゃんを無視しよって……言ったって……」
陽の手が私の背を優しく撫でる。そして歌うように優しく囁いてくる。
「頑張ったね、我慢してたんだね。それでもしおりちゃんも悪者に出来なくて苦しかったね……大丈夫。大丈夫だよ。あかりちゃんは悪くないよ」
指先で私の涙を拭い取り陽は優しく笑う。
「あかりちゃんの涙、貰ったよ」
陽はそう言ってその手を自分の胸に当てた。
その瞬間柔らかいお日様みたいな光が輝く。
眩しくて思わず目を瞑ると陽に再度抱き締められた。
「私がいるよ。大丈夫。今度はきっと……大丈夫」
優しい声が少しずつ遠ざかっていく。
目を開けようとしたのに……開かない。体が重たい……また……意識がゆっくりとけていった。




