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昔々のお話。

『悪い人は正義の味方に倒されて世界は平和になりました。

そしてみんな幸せに暮らしました』


なんて締め括られる。優しいお話。

でも現実はそんな綺麗な物じゃない。悪は滅びないし良い人はずる賢い人に上手い事騙されて静かに泣いている。

そんな世界に私は諦めを覚えた。


「みんな陽みたいに優しければいいのにね」


と私は虚空を見つめた返事のない相方に呟く。

陽は昔私の母が遊んでいたウサギのぬいぐるみだ。押し入れにしまわれていて忘れられていたのを幼い私が見つけたそうだ。


それからはいつも一緒。兄弟がいない私にとって姉のような妹のようなそんな感じで常に一緒だった。流石にもう20年も30年も経っているため2度、ぬいぐるみのメンテナンスに出した時以外は。


陽の毛足の長い柔らかい胴体を抱きしめ頭に顔を埋めると少し気分が楽になる。

学校に行かなくなった私はもう何度そうしただろう?


別にいじめられたとかそう言うわけではない。親も先生にも、耳にタコができるくらい聞かれた。

でも、そんなことでは無い。私はただ……ただ、あの環境が息苦しくて過ごせなくなったのだ。

そう訴え部屋に閉じこもった私を、父も母も何も言わずに見守ってくれている。何度か訪れた担任はその後一切来ていない。たまに電話連絡はあるそうだが。


何の理由もなく閉じこもった娘を両親はどう思っているのか……わからない。

よく読む小説の中のように言い合う姿は見たことないが……いつもと変わらず優しくしてくれてはいるが、本当はどう思っているのだろう。


窓の外からキャーキャー騒ぐ笑い声が聞こえ始めた。どうやら学校が終わったようだ。

私は立ち上がりカーテンを閉めるために窓に近寄った。



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