リュートの現状 〜教えて!ラミア先生!〜
「ふぅ、今日は結構豊作だなぁ……」
俺は今日も京都で薬草採取に来ているわけだが……
豊作という訳ではない、俺の体がいつもより軽いからスイスイと作業が進むのだ。
最近になってやっと実感してきた。これも眷属化の得点というわけだ。
『身体能力の底上げ』そういうことなのだろう。
でもラミアさんの話を聞く限り眷属化は3割らしいし……3割でこれか…完全に眷属化したらどれほど怪力になるのだろうか…?
あの空中ダイビングを体験した日、本当はあのまま地面に落ちても今の俺なら別段身体にダメージはなかったらしい。
体が強くなってることを無意識に感じていた故に、あんな状況でも、緊張感が欠如し頭の中がお花畑だったというわけだ。
うんうんきっとそうだ。そうに違いない。
ついでに、シャルが言っていた『聖痕』についてもその日のうちに教えてもらった。
あの日は大変勉強になった–––––– • • • •
……ということで、新コーナー!〜〜教えて!ラミア先生!〜〜」
「え?え?何?急にどうしたの?」
「本日の議題は、『聖痕』についてです。ラミア先生おねがいします」
「や、やっぱり、さっき受け止めた時に変なところ打っちゃったのかな…?リュートがヘンテコになっちゃった…」
大変失礼なことを言われてる気がするが、あたふたするラミア先生というレアショットを拝めたのでむしろ勝ちである。
まぁ、確かに?彼女の太腿を堪能しながら?意味のわからないことを言ってるんだから?妥当な反応ではあるね?
因みに、俺の脳内補正はバッチリだ。
現在、俺の視界に映る彼女の姿は、『二次元でよく見るちょっと露出多めなえっちめの女教師(メガネもあるよ!)の衣装』に変換されている。もちろん黒タイツです。
うーん。大変えっちでいいですね。
スレンダーに見えますが……実は彼女、中々の物をお持ちでしてね……
膝枕してもらった時のムチムチな『太腿』…
あれ……初めて体験した時……
なんていうか……その…下品なんですが…フフ……興奮……しちゃいましてね………
嘘です。流石に勃○はしておりません。お下品な言葉を使い大変申し訳ございません。
今度ガーターリング等を献上させていただこう。
この世界になければ作るまで。俺は本気だ。
……ト?リュート?大丈夫?」
「あ、はいリュートです。こんにちはリュートです」
「えっと、説明するけど、良い?」
「あ、はい。お願いします」
聞くところによると、『聖痕』とは、神聖なる存在から与えられる寵愛の印。
天からの祝福の加護を受けた者にのみ許される刻印らしい。
それは退魔であり破邪の気。邪悪なるものを退ける力が宿る。まさに加護だ。
シャルからの……神獣としての、加護を俺はいただいてしまったというわけだ。
その説明の合間にラミアさんは『また眷属への道が遠のいた』とか『ただでさえうまく進んでないのに』などとブツブツ呟いていた。
なるほど……彼女達吸血鬼は『暗闇の住人』とか『邪悪なる者』だとか呼ばれているらしい。
ならば『神聖なる者』とされているシャルは、『邪悪なる者』のラミアさんとは真逆に位置する存在というわけだ。敵対していると言っても良いかもしれない。
…‥だから険悪だったの?
ちなみに、彼女達のような邪悪なる者からの印は、呪印とも呼ばれているらしい。
まぁつまり、『聖痕』が俺の眷属化を邪魔している……?
ってことは、ラミアさんの印が最初から上手くいかなかったのは……
「あの時の天使さんから貰った印も、『聖痕』ってことか……?」
「リュート?……それどういうこと?」
おっと、ラミアさんに釣られて俺も独り言を呟いてしまったようだ。
「あ、いや…昔、天使さんに命を救われたことがあって…その時に……」
俺は服の衿を少し下にずらし、それをラミアさんに見せる。
鎖骨の真ん中、そこより少し下に十字架の焼き傷がある。これが天使さんにつけられた印だ。
「……これのせいだ…」
彼女がそう呟きながら、そこへ指を伸ばす。
やっぱり?そうだよね?でもこれは俺にとっても大事なものだからなぁ〜。どうしようもできないし、するつもりもないんだよな〜。
なんてことを考えていると、十字架の傷跡へ触れた彼女の指から、白い炎が立ち上り、燃えはじめた。
「おわわわぁっ?!だ、大丈夫ですか?」
「この程度、問題ないよ」
そう言い、もう片方の手の爪で、燃えている指を即座に切り落とした。
……はへ?
瞬きを終えた頃にはその指は元通り。切り落とした指は灰になり、そのまま塵となった。
え、こわぁ。
「天使…にしては退魔の力が中途半端……だね」
「……そうなんですか?」
一旦、今の光景は見なかったことにして話を進める。
「うん。印自体は強力なんだけどね…天使から加護を受けてるなら、私の印なんてそもそも付けれないし…本来なら近付くだけでその気配がわかるはずだし……」
「あぁ、でもなんか。その時は、堕天がどうこう言ってたなぁ」
その言葉に、ラミアさんは深く考え込む。
「……多分、私と同類だ」
「同類…?ラミアさんも天使さんなの?」
「……天使じゃない。歴とした真祖の吸血鬼だよ…同じなのはそこじゃない」
「え?…じゃあ何が同じ…?」
「……なんでもないよ。……リュートは、変な人間だね」
急なディス。泣いていいか?
「『聖痕』を…それも最上級の印を持ってるのに、私みたいな存在とも気軽に関係を持って…あの白猫にも謝らせちゃうし……」
その話と、彼女と仲良くすること、何か関係あるのだろうか?
好きな人と仲良くなりたいし、『ありがとう』と『ごめんなさい』を言うのは人として当然だし。特別変なことはしてないよな?
そもそも聖痕とか普通に知らなかったし。今初めて知ったし。
「まぁ、俺は俺が関わりたい人としか関わらないし、これはダメだ!って思ったらちゃんと注意しますよ!ラミアさんも例外じゃないから覚悟してくださいねっ!」
バシーン!とかっこいいポーズをキメる。
彼女の太腿に頭を乗せたまま。
どや?かっこええやろ?
「……」
「……はは」
やべ、また滑った。俺、ラミアさんと出会ってから、彼女を俺のユーモアで笑顔に変えたこと一度もなくないか?
これが……ジェネレーションギャップ……?(違う)
俺が、異文化交流の難しさに戦慄していると、彼女の口からポツリと言葉が落ちる。
「リュートが悪いんだからね」
「そっ……かぁ……」
どうやら俺が悪いらしい。俺ってそんなにつまんない奴かなぁ…
やっぱり、な、な、泣いていいかなぁ?この身体はまだ17歳だし、い、いいよね?号泣しても、いいよね?
「リュート、もっかい、血飲みたい」
「え?良いですけど…」
唐突な要求に驚きながらも、(今日は待たされた分、腹ペコなのかな?)と思いながら、彼女の口に指を近づけるが…彼女の反応がない。
「首がいい」
「え?」
その瞬間、すごい力で、体を起こされる。
彼女のモチモチ太ももから引き剥がされてしまう。
名残惜し…じゃなくて
「ラミアさ––––「あむ」ッあ゜ッ」
時すでにおすし。
彼女の少し分厚めな柔らかい唇が俺の首筋に添えられ、優しい感触を与える。
いつもは口の隙間から見え隠れさせているチャーミングな牙が、本来の用途として首に突き刺さる。鋭い痛みとじんわりとした快感が広がってゆく。
らめ〜〜〜気持ちよくなっちゃゥウウウゥウウウ……
• • • • ––––––とまぁ、こんな感じで色々教えていただけたのだ。ラミア先生万歳!持つべきものは吸血鬼主系お姉さんだ。
つまり今俺には
天使さんと、シャルからの『聖痕』が、額と鎖骨の真ん中あたりに一つずつ。
ラミアさんからの眷属の『呪印』が首に一つ。
そんな状態。
なんか厨二っぽくて俺の琴線が震える。
………ま、今のところ私生活に問題無いので特に変わったところはない。
あるとすれば、借金地獄に陥ったと言うところだけ。
マジで部屋の修理費用バカにならんぜ……何か手を打たないとな。
何かいい案がないかと頭を働かせながら、俺は今日も薬草採取に精を出すだった。
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