異種族で修羅場② / ダークエルフさんに相談
「い、一緒に4人で暮らすって……流石にそれは……んぎゅっ?!」
不満を吐くルウをシャルが抱き寄せる。
「シャルは、この子ならいい……でもそこの吸血鬼はダメ」
「シャルさん…そんな殺生な……」
やっぱこの2人仲悪いよなぁ……
「そこの2人は反対みたいだな。よし、ならば私とリュートで暮らす。貴様らは私達の見えないところで好きにすれば良い」
「だ、ダメダメダメ!」
「理解不能。意味がわからない。お前が1人で生きろ」
ルウはともかく、シャルがずっと容赦なさすぎる……流石に共存は無理なのかなぁ。
確かに話題は逸らせたが……これはこれである意味修羅場だ。
「あのー……」
「「なに?」」
ギラつかせた瞳から放たれる2人の視線に射抜かれる。
こ、こわいい……威圧感がすごいよ2人とも……可愛いお顔してるんだからさ?……あ、ダメだ。威圧してても可愛いわ2人とも。ありがとうございます(?)
「と、とりあえず4部屋にくらいある大きな家に引っ越そうと思うからさ…いつでも来てくれて良いし、それぞれ一部屋好きなように使ってもいいので、何卒喧嘩だけは……」
「「………」」
何やら考え込む様子のお二人。
まぁこれなら俺が勝手に大きな家に住んで、使っていいよと許可を出してるだけなので……俺に非は飛んで来ないはずだ!!
「よ、4部屋か……」
「どした?ルウ。何か問題ありそ?」
「べ、別に3部屋でもいいと思うな……ボクと兄さんはいつも通り一緒に寝ればいいと思うし……」
「え、でもせっかくなら自分の部屋欲しくない?」
ルウだって年頃なんだから、1人でいたい時もあるだろうに。気を遣ってくれてるのかな?
「………」
「ルウ、さん?」
俺をジトっと見つめる目がもう一つ増えてしまった。
俺はとんでもないほど頭を抱えることになってしまった。
○●○●
−−−− • • •って、ことがあったんですけど……なんとかなりませんか?」
「はは、重大な事件が発生したからというからわざわざ『ユートピア』のVIP部屋を使ったというのに……待っていたのは痴話喧嘩の惚気話とはね。君には一本取られたよ」
椅子に座りながら皮肉たっぷりにチクチク言葉を吐きつけ、俺の心を突き刺すロリ姿のマギアさん。
状態状攻撃を受けた時のように、俺のライフがゼロに近づきつつある。
「ご、ごめんなさぁい!でもでもぉ!頼れるのがマギえもんしかいなくてぇ……!」
「相変わらず随分と愉快な日々を過ごしているようだね。楽しそうで羨ましいよ」
彼女の皮肉は止まらない。心なしか、目つきがじっとり湿っぽい。
でも今の俺の状態を知っていて、かつまともな相談相手はマギアさんしかいないのだ。
「今だって、わざわざ1人の夢魔が私たち2人の為に力を使ってくれているんだ。荒い人使いはしたくなくてね」
「すんまへん……あとで謝っておきます」
『ふぅ〜』とキセルから吸った煙を吐く。
ここは夢魔が作り出してある世界なので煙を吸っている感覚は無いはずだが、癖になっているのだろう。
姿が幼くなったのに妙にしっくり来るというか……似合っているというか…
貫禄すら感じてしまう。
「俺…どうすればいっすかね?」
「もう、3人とも嫁に貰ってスリリングでハッピーな生活を送ればいいんじゃ無いか?」
「そ、そんな投げやりな……もう少し真面目にお願いしますヨォ」
っていうかルウは別枠じゃん?この世界では同性婚もできるのかな?
シャルと結婚することしか考えてないかってからその辺の勉強もできてないな。
「少し前から思っていたが……君はなかなか鈍い男−−−−」
「っ?!な、なにこれ?!え、え?ななななにこれ?!」
マギアさんが何かを言おうとした瞬間、辺り一面真っ暗になる。
「ま、マギアさん?!これなんですか?!もしかして夢魔さんに何かあったんですか?!」
「………」
「え?!え?!マギアさん?!??大丈夫ですか??いくらクールといえどこういう時くらいは返事して欲しいんですけどぉ?!普段のミステリアスなあなたは確かに魅力的でせくすぅぃ〜、ですが、流石に今発揮してる場合じゃ無いですよぉ?!」
「………」
返事はない。ただの屍のようだ。
……と思ったら、すぐに明かりがついた。
「………なんこれ?」
部屋の中はいつの間にか紫の煙に包まれている。ちょうどマギアさんがキセルから揺蕩わせている煙と似ている。
マギアさんの方を見ると姿が見えない。
もしかしてこれ異常事態か?
「にんげんくん」
「ほへぇつ?!」
声の方を見ると、俺のすぐ前に立っていた。
「な、なんだ。ちゃんといたんですか……全く、あんまりいじめないでくださいよ?俺、思ったより簡単に泣きますからね?それはもう、とんでもなくみっともない姿を眼前に晒して、反応に困「にんげんくん」……はい、なんでしょう」
いかに俺のメンタルが弱いかを熱弁していたら途中でぶった斬られた。悲しい。
「だっこしてくれ」
「……はい?」
「だっこして君のひざの上にのせてくれ」
……マギアさんのことだ。きっと何か意味があるのだろう。
俺は言われたまま彼女を抱き上げ自分の太ももの上に乗せる。
「……ちがう」
「え、ちがう、とは?」
「これじゃ、ぎゅってできないだろ」
「………えっと?」
困惑している俺をよそに、彼女は、んしょんしょと言いながら器用に落ちないようにこちらへ向き、体に腕を回ししっかりと抱きしめてくる。
まるで親にしがみつくコアラの子供だ。
「あのー?」
「あたまをなでろ」
わかった。これはきっと夢だ。
いや最初から夢の世界ではあるんだが……
多分何かあったんだ。これは多分俺の心の奥にある潜在的なロリコンマインドが見せている幻覚だ。
夢魔はその人の欲望を掬い上げ、夢の世界で投影させたり、曝け出させたりする。
だから今の彼女にキュンキュン来てるのはきっとそのせいだ。だから仕方ないよね、うんうん。
あのクールでニヒルなマギアさんがこんなこと言うわけないもん。
よし!夢ならいっそのこと楽しんでしまおう!
夢魔さんに何があってこんなことが起こったのかわからないけど、とりあえず今俺は幸せを感じているので、Win-Winの利害一致だ。
「わかりました!それでは失礼して!」
俺はよしよしと優しく頭を撫で回す。頭だけではなくそのモチモチのほっぺを指でつつき指で優しく摘んだり、やりたい放題してしまう。
綺麗で長い銀髪を指で梳き、サラサラの手触りを楽しむ。
「……んふー!」
後ろからちらっと横顔を覗いてみるが何やら満足気だ。俺はしばらくこの夢を堪能させてもらうことにした。
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