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猫獣人さんとのデート②

こういうのが書きたかったんだ。というような回になってます。

めちゃくちゃ書いてて楽しい。イチャイチャ最高!!


「……もう、身体も大きくなったよ?だめ?」


「うーん、なんと説明すればいいのか……あれはなぁ…」


我が子に、赤ちゃんの作り方を聞かれた親とはこう言う気分なのだろうか。



「わかってるよ」


「……へ?」


「シャルももう大人。……()()がなんなのか、もうわかってるよ」


「……えっと…」


ゆっくり……ゆっくりと、彼女が俺に覆い被さってゆく。俺は動けずに、あっという間に体の自由を奪われてしまう。

彼女のいつもとは違うその色気のある表情。俺を見下ろすその視線、誘惑するように頬を赤め、熱い吐息が少しだけ首にかかる。

俺は今、身動きひとつできやしない。



「シャルね、あの時……リュートのあの姿を見た時、すっごく興奮したの」


「そ、それはどうも?」


「だからね、シャルも、同じことをすれば……リュートにドキドキしてもらえるかなって……頑張って……みたの…」


「……スゥーーーッ。ちょっと待って待って。やばいやばい」


「……どうしたの?」


何それ?えっえっえ?け、健気すぎる。可愛すぎる。まずいまずい。今までで一番まずい。やばい、俺の理性の(たが)がバコバコのポキポキに折られまくってる


ダメだ、打開しないと……攻めに転じないと、このままでは呑まれてしまう!

精神年齢25歳+17歳の、大人(おっさん)の精神力を発揮しろ!



「シャル、君はひとつ勘違いしている」


俺はできるだけキメ顔を形作りながら喋る。声がガタガタに震えてる気がするが、とりあえず顔だけはなんとか維持したまま続ける。


「勘違い…?」


「そうだ。君はさっき、『人の姿になれば俺がドキドキする』と言ったが、それは間違いだ」


「……そっ、か」


少し悲しそうな顔をするシャルさん。ごめんね、せっかく頑張ってもらったのにね。でもこのままじゃ俺の理性が終わるからね。仕方がないの。


「やっぱりリュートは、シャルなんかじゃ–––


「俺は普段から君にドキドキしてる」


–––え?」



ごめんね、本当に。こんな変態で。


「普段から、君の姿に、俺はいつもいやらしい目を向けている。胸とお腹、服の隙間から溢れ出るあのもふもふを俺はいつも視姦していたし、 力強い足先についてる、あのぷにっぷにの肉球なんて、もう毎回『顔踏んでー!』って思ってたし、 尻尾を太ももに巻きつけられたりなんかしたら普通に()つし、 挨拶として鼻チューしたり頬ズリしたり体をすりすりされるたび『かーっ!こんっっのぉっ!卑しか女ばい!けしからんねっ!』って心の中で叫んでたし、 つまり俺は普段から君のことをめちゃくちゃどエロい目で見てたってことだ。俺がどれだけ恐ろしい男かわかったか?」



「………」


彼女は、そっと俺の上から立ち退いた。そしてそのまま、少しだけ離れてそっぽを向いてしまった。


ふふ、勝ったぜ。多分俺はドン引きされただろう。これからは、今までみたいにスキンシップしてくれなくなるだろうけど、安いものだ。

彼女の貞操が守られたのだからね。

あのままだと俺、夜を待たずして狼さんになっちゃってたからね。


勝負に勝って試合に負けた、と言ったところか。



俺は起き上がり、彼女に声をかける。


「ごめんね?急にキモイこと言って」


「………」


「シャルさん?」


「………」


「シャルナールさん?」


「………」


「シャルナール・ビウ・ガルシア様?」


「………」


悲しい。彼女とここまで距離を離されるとは思わなかった。闇の力(性癖開示)は代償がデカすぎたようだ。



「………ち」


「え?」


何かを小さく呟いた彼女は、ほんの少しだけ、こちらへ振り向く。

体毛が生えてないおかげで、彼女の赤くなった表情がよく見える。瞳には少しだけ涙が溜まっていた。


「りゅーとのぇっち」


今度はちゃんと、彼女の呟きが聞こえた。

その表情と言葉は、恥じらいを表していた。



勝負はまだついていなかったようだ。それどころか、今の一撃で俺のHPが大幅に削られてしまった。

勘弁してくれ、それわざとやってる?これがいわゆる誘い受けってやつ?(多分違う)。俺もしかして誘われてんの?


いつだって飄々としていて、表情を崩さずに大胆なことだってしてきてた癖に、急に乙女みたいな反応しないでくれる?

俺はギャップに弱いんだ。


俺の中の悪魔が囁く。

『ちょっとくらい、ちょっかいかけてもいいんじゃね?』と。



「シャル…ごめんね?恥ずかしかったよね?こっちおいで?可愛いお顔見せてよ。仲直りしよ?」


「や!」


んぎゃあ?!か゛わ゛い゛い゛?!


「シャルちゃ〜ん」

彼女の名を呼びながら、少しずつ近づいてゆく。その姿はまさに変態だ。



「や!こないで!」


猫愛好家は、嫌がられても拒絶されても、それすら可愛いと思ってしまう特殊な人種だ(偏見)。そして俺も例に漏れずその内の1人。

むしろ、こんな反応されたら余計に嗜虐心に火がついてしまう。これがキュートアグレッションか。



「シャルさーん」

ちょいちょい、と背中を突いてやる。


「んっ?!」


彼女の姿は、いつのまにかいつもの姿に戻っていた。白い毛に肌が包まれている。

ただ布面積は多いので、殆ど顔からしかその綺麗な毛は見えてない。



「ほれほれ〜」

そのままスーーっと指を下ろして、指の本数を増やしながら優しく撫で付ける。


「んぅぅう!」


怒ってるような声を出しながらも、拒否はしない。げへへ〜。体は正直でんなぁ。



「りゅーときらい!」


「えぇ〜?嫌いなの〜?俺嫌われちゃったの〜?悲しいなぁ〜」


オーバーにリアクションするが、ニヤニヤが抑えられず、声が上擦ってしまう。


「ぅ……き、嫌いじゃない….けど」


「けど?」


「……うううっ!」


「ちゃんと言ってくんないと、俺バカだからわかんないなぁ〜?」


「……いじわる」


あ、拗ねちゃった。流石におちょくりすぎたか。



「ごめんごめん。ほら、よしよし」


頭を撫でてやる。

そうすると彼女は、力が抜けたようにゴロンと、俺の胡座の上に体を倒した。



「……頭はずるい」


「嫌だった?」


「……それもずるい」


「うそうそ。もう意地悪しないよ」


「んぅ」


そう言って、俺は彼女を撫で始める。

その日は久しぶりに、時間も忘れて、彼女をゆっくりと愛でることができた。




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