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猫獣人さん達へのセクハラ


思い出すのは数年前。

俺がベルクニフ家から追い出される前の、まだシャルと婚約関係が続いていた頃の話だ。


その日は、シャルの帰省とご両親への挨拶の為に一緒に獣国へ伺っていた。


この行事自体は定期的に行われいたことであり、その度に数泊お泊まりさせていただくのが恒例化していた。


因みに、俺以外のベルクニフ家の人間は獣人への考え方がクソだったので、最初の一回きり以降、ついてこさせることはなかった。

護衛も、俺が選んだ複数人のみ。それも獣国の入り口までで、その後は送り返していた。



正直、ガルシア家は実家よりも居心地が良かった。

シャルのご両親からも、なぜか気に入っていただけてたからだ。


モフモフパラダイスを存分にenjoyしていたわけだ。


なのでその日も特に緊張せず、俺はいつものように上機嫌で彼女の父親である『ガラード』さんの元へ挨拶に向かう。


挨拶の時はいつも1人で向かっている。今回もそれは同じだ。




「失礼します!」


「リュート、待っていたよ」


そう言いながら彼は、首を俺の顔の高さまで下げ、頬擦りで挨拶してくる。


ひゃっほーいっ!た、たまんねぇ〜っっ!



「へへ、ガラード様、お久しぶりです。相変わらず毛並みがお綺麗で」




彼は、シャルやミヌエルさんとは違い短毛。毛色は暗い灰色…いわゆるブルーと呼ばれてる色合いだ。とても艶があり、綺麗に光を反射している。

髪も短く上にかき上げられ整えられている。


体型、顔の骨格、共にすらっとしており、手足が長い。

身長も俺より高く190〜200cmはある。

だがしっかりと筋肉質で猫科の獣人らしい、とんでもない運動神経と筋肉をその身に秘めている。

目は鋭く、野生に潜む狩人のようだ。



つまるところ……ちょうスマートでお上品さもあり、はちゃめちゃにかっちょいいのだ。


あえて言うなら……一番近いのはロシアンブルーかな。



初めて彼を見た時の俺の顔は、それはもうキラキラと瞳を輝かせてたに違いない。


可愛い娘さんの次はクールなお父さんのご登場。

こんなん、より一層ケモナーの沼に沈んでいくに決まってるじゃん?



「様などいらない。私と君の仲では無いか」


「すみません。まだちょっと慣れなくて。お言葉に甘えて、いつものようにガラードさんと呼ばせていただきます」


好感度高すぎて困っちゃうね。

獣人が、人間と比べて、そこまで礼節や振る舞いにうるさくないって言うのもあるけど。


ここだけの話、本当はガラードパパと呼びたいと思っている。



「今回もまた…()()を頼みたい」


「はぁい!誠心誠意努めさせていただきまぁす!」


『あれ』などと意味深に言ってはいるが、普通にマッサージのことだ。

ただ流石に、族長?氏族の統領?みたいな人が、俺みたいな若造に撫でられまくり、気持ちよさそうにしているのは体裁的に良くないので、秘匿事項として扱われている。



この世には、俺のように、獣人相手にマッサージを施そうなどと言う人間はいなかったみたいで……

マッサージに耐性のないガラードさんは、俺のテクニックの前に、それはもうフニャフニャになっていた。大の大人の獣人が、ゴロゴロゴロゴロと喉を鳴らしながら尻尾を押っ立てていたのだ。


苦痛よりも快楽の方が我慢するのは難しいと、何かで読んだことがある。



だがそれは、耐性がないからこその反応。

慣れてくれば、前世で飼ってた白玉のように、そのうち反応も薄くなるだろう。


だが今はまだ俺のテクにぞっこんだ。

なので獣国へ来るたび頼まれている。それも……家族ぐるみでだ。



「あらあらあなた、抜け駆けはずるいんじゃないですか?」


「……ミヌエル」


「どうもミヌエルさん!相変わらずも麗しいですね」


「リュートくん、酷いわぁ?私のこと忘れてたの?」


そう言いながら、彼女とも獣人式の挨拶を交わす。

うひょひょ〜い!きもちえ〜〜^



「いやいや、そんなことありませんよ。こんな綺麗で美しい長毛、忘れたくても忘れられませんよ」


彼女の容姿は、白い長毛の毛に覆われている。ガラードさんとは違い顔は丸っとしており、それは目も同じだ。幼さを感じる印象。

こう見ると、シャルは断然お母さん似だ。

ふわっとした長い髪とその長毛に、とんでもない包容力を感じさせる。


今すぐ顔を埋めた〜い。でもそんなことしたらシャルがヤキモチを妬くので出来ない。



「……ん゛る゛る゛」


やーん!ミヌエルさん、褒められただけでちょっと喉鳴らしてる〜。か〜わ〜い〜い〜。



「リュートは私の」


その声と共に、背中にもふっとした感触。

案の定、シャルさんがヤキモチ妬きながらやって来た。


「シャル…来ちゃったの?」


「遅いから来た。……リュートをとらないで」



「シャル、彼はもう私たちの家族なのだ」


「そうよぅ?リュートくんのマッサージだって、毛繕い(アログルーミング)みたいなものなんだから、そんなカッカしないで?」


「いこ」


「おっとっと」


彼女は両親の言葉を無視して強引に俺の手を引いてゆく。


「はは、すみません。また後で改めて〜」


そう言い残し、俺は彼女と共に、その部屋を後にした。



なんか、家族ぐるみで俺を堕としにかかってない?困るんだけど。人間の国に帰れなくなっちゃうじゃん。




○●○●




「ん゛る゛る゛る゛る゛る゛る゛」

シャルの自室、俺はいつものようにマッサージを施す。


喉をゴロゴロ鳴らしながら気持ちよさそうに尾をピンと張っている。


そしていつものように、その流れで尻と腰の間あたり……尾の付け根、仙骨周辺を手でトントン、と叩いてやる。


「ん゛な゛ぁ゛あ゛あ゛ぉ゛お゛お゛」


本来は、この声を聞いて気づくべきだったのだ。だが俺は『うんうん、白玉の時と同じような気持ちよさそうな反応だな。よしよし』などと呑気なことを考えていた。





そしてその『気付きと懲戒の日』はやってくる。


その日はミヌエルさんにこっそり呼び出されていた。

いつものマッサージかな?と思いながら、彼女の自室へと招かれる。



「失礼します、早速やっちゃいますか?」


俺はノリノリでいつものように彼女にマッサージを施そうとする。


「ううん。今日はちょっと話があってね」


「え?あ、はい」


なんか神妙な顔つきだ。何か俺に失礼があったのだろうか?だとしたら大変だっ?!


『とりあえず座って?』と促され、言う通りに席につき、真剣な顔つきで彼女の話を聞く。



「その、あれについてなんだけど……いつも気持ちよくしてくれて、ありがとうね?それ自体はすっごく嬉しいんだけど……でもね?」


な、なんだ?!い、痛いことしちゃってたのか?!触ってほしくないところ触っちゃってた?!それとなく肉球モミモミしてたのがバレてた?!

それとも、獣人なのに、猫と同じように扱いすぎたか?!失礼!?失礼しちゃってたのか?!



「いつも最後に…腰をね?叩いてくれるでしょ?」


「……はい」


やはりお尻付近を触るのは失礼だったか?確かに人間同士だと、お尻なんて触ったら下手すりゃ捕まるもんね?


「『あれ』ね?……実は、どうしても、その、……は、は、は……ょう……しちゃうから……やめて欲しいの」


「すみません。申し訳ないのですが、上手く聞き取れなかったのでもう一度いいですか?」


ちゃんと聞いて、謝って、すぐに戒めなければならない。こう言う時はしっかり何がダメかを知るべきだ。



「……その……『あれ』をされると……」


「はい!」


「は…」


「『は』?」


「発、情…っ!……して、しまうの……」


「………」


「ご、ごめんなさいね?こんなこと、婚約者の母親から聞きたくないでしょ?でも、……私も、あんなことで、こんな気分になるなんて思わなかったの。もしかしたら私だけかもしれないけど……あの子も、その、発情鳴きみたいな声をあげてるみたいだし……」


「………」

聞こえちゃってたのかぁ。

そりゃあんな大きな声出させてたら聞こえるよね……じゃなくて!

問題はそこじゃない。



「私は大人だからまだいいのだけれど、あの子はまだ幼いし……へ、変な癖とかついたら……いや、リュートくんと一緒になるから、問題ないかもしれないのだけれど。やっぱり、そういうのを覚えるには、まだ早すぎじゃないかな?って……心配になっちゃって」


『こんな話して、申し訳ないわ』と謝られる。だが、謝らなければいけないのは完全に俺だった。



「すみませぇんでしたぁぁあ!」


「へぇ?!あ、だ、大丈夫よ?これから気を付けてくれればいいから…」


俺はすぐさま土下座を決め込む。

そうだ!そうだ!そうだっっ!思い出した!猫の仙骨あたりは、刺激すると性的興奮を起こしてしまうのだった!完全に忘れてたっ!

やばいやばいやばいやばいやばい。これは本当にやばい。

なんて無礼を働いていたのか、そしてなんのプレイだよ、とツッコマれてしまうようなことをずっとしていたのだ。



封印しなければ。これはもう封印だ。せめて相手はシャルだけにして、それもちゃんと大人になってから解禁で、そう言う行為が許されてからだ。ちゃんと愛し合う時しかしてはダメな行為だ!

気を抜きすぎた。獣人と猫を混同しすぎていた。


猫にとっては前戯と言っても過言ではないその行為を…俺は、俺はぁぁ?!

シャルだけじゃなくガラードパパにも、ミヌエルママにもしていた?!

婚約者の両親に前戯とか……そんなのエロ同人でもみたことないぞ?!

とんだ変態クソ馬鹿野郎だ俺は!!



その時の俺の焦りようはとんでもなかった。

身体中から滝汗を吹き出しながら、すぐ様ガラードさんにも土下座をかました。


ガラードさんは、それほど性的興奮は感じていなかったらしく、それだけが唯一の救いだった。



だがもう時すでにおすし。

シャルはすっかり腰トントンの快楽に魅了されており、俺がもうやらないと言っても、ずっとねだり続けていた。

それはもうすごい勢いでだ。

毎回彼女の鋭い爪で服をビリビリにされ、素っ裸にひん剥かれるほどだった。


ただでさえ、ここに来るといつも肌着や下着を複数枚無くしてしまうのに。



あまりにも強い要望。これを放置していたら、いつか他の人に頼みかねないと危惧した俺は、仕方なく続行。


依存しているものを急に取り上げると、もっと強い刺激を求めてしまうと言う話を聞いたことがある。なので、少しずつ引き離すことにした。


段々と力を弱めていき、頻度も少なくしてゆく。そして長い時間をかけ、なんとか彼女を腰トントンから卒業させることに成功した……はずだったのだが……




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