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ダークエルフさん(with夢魔さんズ)との商い①


今日はとある用事の為、とある人物に会いに、とある場所へ来ていた。


寂れた裏通りの道に構える、一際異質を放つ商屋がある。

その店を表現しようとすれば、様々な言葉が浮かんでくる。

裏市、男の夢、怪しい骨董屋、呪具屋、違法の薬屋。

まぁ、とにかく怪しいのだ。


そんな怪しい店の扉を押と、ギィ、と古びた木の音が鼓膜を引っ掻く。

この店へ足を踏み入れるのは、未だに慣れない。


「こ、こんちゃーす」

意を決して中へ入れば、より一層怪しい雰囲気を直に感じ取れる。

棚には何やら怪しい生き物だとかよくわからない内臓のようなものを詰め込まれた瓶が並んでいる。他にも、床に置いてある大きな壺が微妙に震えていたり、片方の目玉だけ残した頭蓋骨が机の上に佇んでいたり、ミイラになった片腕が飾ってあったり……何かの呪具に使われたり、もしかしたらそのものなのかもしれないけど……趣味が悪いよぅ。


周りをちらちら見渡していると、奥の部屋に続く廊下にある、ジャラジャラとした暖簾が音を立て始める。

それをくぐりながら現れたのは褐色肌のお姉さん。だが、その褐色は焦茶色に少し灰色がかった色をしている。


その女性はかなり開放的な衣装に身を包んでいる。

グレーのショート丈のノースリーブ……と言うか、肩にかかる布がほぼ紐だ。ダルっとした部屋着のような衣服。白衣のような、ロングの白く薄い上着を、肩を出したまま上から羽織っている。

合コンとかに1人はいる、あざとい女がよくする着こなし方だ。

その衣服の隙間から見える大胆に露出されている肩と腕には、紋様のような黒い刺青が彫ってある。


肉付けはあまり良くなく…少し肋骨が浮いているように見える。ちょっと痩せすぎじゃないかな?と心配になる体付きだ。

でも…….その鼠径線とおへそ…えっちです。

そう、下はショートパンツを履いているが、それも結構際どいところまで下げられており、エッチな鼠径線が見えていのだ。

大変えっちです。ご馳走様です。


その銀色の髪は薄暗い部屋の中で光を反射させギラギラと輝く。それがより一層怪しさを際立てる。

耳はその種族を象徴するように長く伸び、とんがっている。

表情は少しやつれており、特に目のクマがすごい。あと目のハイライトも全然無い。真っ黒だ。これは部屋が薄暗いからか?ともかく、その顔色は不健康そのもの。

そして、その赤い唇には、不健康の代名詞であるタバコ…否、キセルが咥えられている。その先から、妖しい紫の煙をモクモク漂わせては、それが空気へと溶け込んでゆく。



ふーっ、と口から紫の煙を吐き、一拍置いてから彼女は口を動かし始める。

「やぁ、人間くん。くる時は、一言言ってほしいなぁ…うちの子達が怯えたりしたら、クレームになってしまう」

『ただでさえウチは、せせこましくやっているんだ。客が減ると困るんだよ』と嫌味のようなことを言う割には、口だけ笑ったような不自然な笑みが顔に張り付けられたままだ。


「え…俺、ここの人に、そんなに嫌われてるんですか?」

サキュバスさん達から怯えられるって何?どんな変態のバケモンだと思われてんの?

俺そんな異常性癖(アブノーマル)の趣味はしてないと思ってるんだが……


「ははは、これはまた一段と……君はほんとに面白い」

「……?え、これ、会話成立してます?」

いつの間にか俺の変態性に磨きがかかったった的な話ですか?思い当たる節が一個もないが?



この不健康そうで、おへそがえっちで、少し不思議な空気を纏うこのお姉さんは『マギア』さん。

呪術やそれにまつわる魔具や呪具を取り扱うダークエルフさんだ。


ちなみに『マギア』という名は仮名らしい。呪いにおいて名は大切な意味を宿す……とのこと。

だから俺の自己紹介も拒否された。あの『人間くん』呼びにはちゃんと意味があるのだ。

俺とはしては、このダークエルフダウナーお姉さんともう少しお近づきになりたいのだが……まぁ、無理はいけない。しつこいのと距離感おかしい男は嫌われる。


でもねでもね?将来的にはね?仲良くなってね?一緒にお酒を飲んでね?酔っ払った俺をね?おちょくりながら軽くあしらってほしいんだ?

これ、今んところの俺の目標(願望)ね。



()()の件で来たんだろう?丁度いいタイミングだ。彼女達の協力もあって、それなりに形にはなったさ。まぁ、まだ街五つ分の範囲でしか準備はできていないけどね」

「え、もうそんなレベルなんですか?す、すげぇ……」

俺もよくわかんないから思いつきで提案してみたのだが……もう形になっているらしい。俺、何もしてないのに凄い!


「なかなか面白い発想だと私は思うよ?私は、だけどね。客がつくかどうかはまた別さ。とりあえず我々で試してみようか」

「え、いいんですか?」

「いいも何も、君が発案者だ。君が試さなくて誰が試す。安心したまえ、私もついていこう…『契約』で互いに不利益な行為は縛られるているとはいえ…それでも1人だと不安だろう?」

「マギアさん……」

『さぁこっちだ』そう言いながら案内を始める。


や、やっぱりお姉さん包容力すごぉい!これがバブみ!俺の心がおギャりたいと叫んでいる!

転がりてぇ!このお姉さんの手のひらの上でコロッコロ、転がりてぇよぉぅ!


「ここだ」

バカなことを考えているといつの間にか到着していた。

扉を開いたその先には五つの椅子。

背もたれの角度がなり緩い、寝そべるように座れるそれなりにしっかりとした椅子が設置されている。


その下には、地面に魔法陣のようなものが刻まれており、その一室の奥で夢魔さんが1人佇んでいる。


黒い羽と尾を生やし、男性の欲を掻き立てるような妖艶な見た目をしている。



突然だが、この世にサキュバスは2種類いる。

夢魔と淫魔だ。その文字の通り、夢魔は人の夢に入り込み操り……淫魔は人間の身体から直接……生気を吸う。



マギアさんが雇っているのは全員夢魔だ。えっちな夢や、気持ちの良い夢を見せてくれるお店も兼業しているというわけだ。そして今から行われるものは、その夢魔さんのおかげで出来たものなので、感謝を忘れずにね。



「こんにちは!よろしくお願いします!」

俺は目の前にいる夢魔さんに挨拶をする。


「ひ、ひぃぇ…」

ずっとガタガタ震えていたが、ついに悲鳴まで上げられてしまう。


「……声をかけてしまってごめんなさい」

「ははは、最初に言っただろう。君は少々歪過ぎると」

ははは、と笑っているが全然感情がこもってない。出会った時からずっとこれだ。


「……俺って、悲しきバケモノだったんですね…」

「軽口はここまでにして、早速試してみよう」

冗談を軽くあしらわれるこの感じ、たまんないね。


彼女は魔法陣が施された怪しい椅子へと腰掛け、その身を預ける。

『さぁ、君も来るんだ』そう促されるままに俺も隣に座る。


「これを飲みたまえ」

謎の液体が入ったコップを渡される。

「……なんすか、これ」

怪しさしかない。飲まない方がいんじゃね?と俺の理性も言っている。


「ただの睡眠薬だよ。夢の世界(ネバーランド)へのチケットは、ぐっすり眠る良い子の元へしか配られないのさ」

「えぇ、でもぉ……」

「いいから飲みなさい」

「ひ、ひぇ、はい!」

ジメっとした圧力に屈して俺はそれを一気に飲み干す。



あ、やば……これ強力すぎる……いし……き、が………



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