第2章 仕組まれた襲撃
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王都から東へ三日の距離にある交易都市ベルハルト。
広場には行商人たちが店を並べ、活気に満ちていた。
だが、その空気は突如として悲鳴にかき消された。
轟音。
炎を纏った獣が城門を破り、街へと雪崩れ込む。
「ま、魔族だあああ!」
「逃げろおおお!」
市民が四散し、混乱が広がる。
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その最中、白銀の甲冑に身を包んだ少年が駆けつけた。
勇者レオン。
「落ち着け! 俺が守る!」
彼の声に、人々の足が止まる。
聖剣が抜かれ、白光が街を照らす。
光に導かれるように、市民は勇者の背後へと退いた。
だが――その魔物の動きは、あまりにも不自然だった。
まるで「演じている」かのように、わざとらしく暴れていた。
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### 3
城壁の影。
黒衣の男が小さく呟く。
「……想定通り。勇者を際立たせる舞台だ」
彼らの手で造られた“魔族の偽装部隊”。
獣の皮を被せ、魔法で外見を歪めたただの人間。
それを知らぬ市民は、恐怖に震えながら勇者を崇める。
計画は順調に進んでいた。
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### 4
一方その頃、ベルハルト近郊。
僕たちは街から立ち昇る炎を見つけていた。
「……嫌な予感がする」
ミレイアが顔を強張らせる。
ゼノは剣を握り、低く唸った。
「どうせ教会の仕込みだろうが……放ってはおけねぇな」
リオネルは目を細め、街の中心を見据える。
「……あれは……レオンか」
聖光を纏う小さな影。
彼の剣が振るわれるたび、群衆が歓声を上げていた。
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### 5
「罠だ」
リオネルが静かに言う。
「この襲撃自体が筋書き通りだ。
奴らはレオンを利用して、人々の信仰を固めている」
僕は拳を握りしめた。
「……なら、暴くしかない。
この茶番が偽りだってことを」
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### 6(ラスト)
街では、レオンが光を放ち、偽りの“魔族”を次々と倒していく。
人々は歓声を上げ、勇者の名を叫んでいた。
――だがその裏で、血を流すのは罪なき人間たち。
教会のために「魔族の役」を押し付けられた者たちだった。
その真実を暴くべく、僕たちはベルハルトの炎の中へと踏み込んでいった。
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