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『神様のバグで死んだけど、リスポーン地点が世界のラスボス城でした』  作者: 匿名希望
「勇者たちの分岐点」

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第1章 影の会議



### 1


 夜の帳が下りた王都の一角、灯火の乏しい石造りの建物の奥。

 そこに集うのは、鎧に身を包んだ騎士でもなければ、市井の民でもない。

 黒衣をまとった者たち。教会の密議に仕える者たちだった。


 分厚い扉が閉じられると同時に、低い声が響いた。


「勇者レオンの名声は順調に高まっている。

 だが、それだけでは足りぬ」


---


### 2


 卓の上には、羊皮紙が広げられていた。

 そこに記されたのは、王都近郊で頻発する「魔族の襲撃事件」の報告。


 ひとりの枢機卿が口を開く。

「民衆には恐怖が必要だ。

 勇者の存在をより輝かせるためには、闇がなければならん」


「つまり……襲撃を煽るのか」

 別の影が囁く。

「そうだ。必要ならば、我らの手で“魔族”を演じても構わぬ」


---


### 3


 議場に冷たい沈黙が落ちる。

 その中で、ただ一人だけが微笑んでいた。

 ――教会の大司教、ヴァルター。


 白い法衣に身を包んだ彼は、静かに手を組む。

「勇者レオンは純粋だ。ゆえに、こちらの筋書き通りに動かせる。

 彼には“真実”など不要だ。大切なのは、民衆が信じる物語」


 彼の瞳は氷のように冷たい。

「……そして、裏切りの勇者リオネルは、その対比として最も都合がいい」


---


### 4


 一方その頃。

 王都から遠く離れた山岳地帯の洞窟に、僕たちは身を潜めていた。


 ゼノが苛立たしげに舌打ちする。

「王都じゃレオンが担ぎ上げられてる。

 それも全部、教会の筋書き通りってわけか」


 ミレイアは拳を握り、苦しげに顔を歪めた。

「でも……レオンは本当は、疑っているはず。

 私たちと戦ったあの夜、彼は確かに迷っていた……」


---


### 5


 リオネルは焚き火の前に腰を下ろし、剣を見つめていた。

 揺れる炎に照らされる横顔は、どこか痛ましいほどに沈んでいる。


「……レオンは俺の後継だ。

 だが、教会に縛られたままでは、いずれ――」


 言葉を切り、拳を握りしめるリオネル。

 その背中に、僕は静かに声を掛けた。


「なら、俺たちが証明すればいい。

 教会の偽りを暴き、本当の敵を示すんだ」


---


### 6(ラスト)


 外では風が唸り、嵐の予兆が山々を揺らしていた。

 やがて訪れるであろう激突を前に、影と影はそれぞれに策を練っている。


 ――勇者の名を巡る、二つの物語が動き出そうとしていた。


---



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