第7章 陰謀の爪痕
### 1
王都の外れ、小さな村に火の手が上がっていた。
夜の闇を裂く炎と悲鳴。
剣を振るい、村人を襲うのは――教会が密かに差し向けた傭兵たちだった。
「魔族の仕業に見せかけろ! 証拠を残すな!」
隊長格の男が叫ぶ。
その手には、わざとらしく黒い角を模した仮面が握られていた。
---
### 2
やがて、村の中央に白光が差し込む。
聖なるオーラを纏って現れたのは、レオン。
「皆さん、安心してください! 私が来ました!」
彼の姿を見た村人たちは、涙ながらに叫ぶ。
「勇者様だ!」
「助かった……!」
人々の絶望は一瞬で希望へと変わる。
---
### 3
だがその光景を、離れた丘の上からリオネルは険しい顔で見下ろしていた。
僕とゼノ、ミレイアも傍に立つ。
「……これは仕組まれた茶番だ」
リオネルの声が低く響く。
ゼノが鼻を鳴らす。
「奴ら、民の命すら“勇者の舞台”に使うか」
ミレイアが唇を噛んだ。
「許せない……」
---
### 4
レオンは剣を抜き、傭兵たちを一瞬で斬り伏せていく。
その動きは拙いが、聖なる加護により圧倒的。
やがて村は守られ、群衆は再び「勇者!」と名を叫んだ。
その歓声を浴びながら、レオンは誇らしげに微笑む。
――だが、その笑みはあまりに純粋で、あまりに危うかった。
---
### 5
「……あの子は何も知らない」
リオネルが呟く。
「自分が“英雄として仕立て上げられている”ことを……」
僕は静かに答える。
「無垢な光ほど、闇に利用されやすい。……だからこそ厄介なんだ」
リオネルは苦悩に顔を歪め、剣の柄を強く握り締めた。
---
### 6(ラスト)
炎の残滓が夜空に消え、村には「勇者の勝利」という物語だけが残った。
その裏で――教会の陰謀の爪痕は、確かに世界を蝕み始めていた。
---




