表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『神様のバグで死んだけど、リスポーン地点が世界のラスボス城でした』  作者: 匿名希望
裏切りの勇者、共闘の誓い

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

86/137

第2章 王国の沈黙




### 1


 人間の王都――白亜の城壁に囲まれたその街では、異様な静けさが漂っていた。

 表向きは平穏だ。市場では商人が声を張り上げ、人々は日常を送っている。

 だが裏では、ひそやかな噂が駆け巡っていた。


「勇者様が……消息を絶ったらしい」

「いや、魔王と共に姿を現したとか……」

「まさか、裏切ったのか?」


 王国の重臣たちは真実を知りながらも、それを公にはしなかった。


---


### 2


 王城の会議室。

 長机を囲む重臣たちが沈痛な面持ちで集まっている。


「勇者が魔王と共闘したなど、民に知られてはならぬ」

「世論が混乱する。教会は既に嗅ぎつけているのだぞ」

「だからこそ隠蔽するのだ。勇者リオネルは……討伐の途上で殉死した、と」


 重苦しい言葉が交わされる。

 だが一人、若き騎士団長アルベルトが机を叩いた。


「ふざけるな! リオネル殿はそんな人ではない! 彼が裏切るはずがない!」


---


### 3


 重臣たちは冷ややかに彼を見た。

「感情論は不要だ。事実、彼は魔王と行動を共にしている」

「それ以上を知る必要はない。我らに必要なのは――“勇者を失った王国”をどう立て直すか、だ」


 その言葉に、アルベルトは歯噛みするしかなかった。


---


### 4


 その頃、教会本部では――。

 大聖堂の奥、燭台の明かりに照らされた壇上で、枢機卿が集う。


「勇者リオネルは堕ちた。ならば新たな勇者を立てるまでだ」

「候補者はすでに選定済み。神聖の儀を施せば、“第二の勇者”は誕生する」

「魔王を討ち、裏切りの勇者も同時に粛清する……それこそ神の望みだ」


 その声は冷酷で、揺るぎない。


---


### 5


 王国が沈黙を選び、教会が次の駒を動かそうとする中――。

 人々の間では噂だけが膨らみ続けた。


「勇者は本当に死んだのか?」

「いや……裏切り者となったのだ」


 その囁きは、やがて大きな波となって王国全土を覆い始めていた。


---


### 6(ラスト)


 ――そして。

 遠く魔王城にて、その報せの断片を耳にしたリオネルは、ただ黙っていた。


 拳を握り締め、血が滲むほどに。

 その沈黙は、怒りか、悲しみか。

 誰にも分からなかった。


---




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ