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『神様のバグで死んだけど、リスポーン地点が世界のラスボス城でした』  作者: 匿名希望
裏切りの勇者、共闘の誓い

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第1章 勇者の裏切り者




### 1


 魔王城の広間に、重苦しい空気が満ちていた。

 黒曜石の柱に灯る炎が揺らめき、数多の魔族たちが視線をこちらに注ぐ。

 その視線の中心に立たされているのは――勇者リオネルだった。


「……人間が、ここに」

「勇者が、魔王の城に足を踏み入れるとはな」

「裏切り者め……」


 低い唸り声や嘲笑があちこちから響き、リオネルに突き刺さる。

 彼は顔を上げ、毅然と立っていた。だがその掌には力がこもり、微かに震えているのを僕は見逃さなかった。


---


### 2


 僕は一歩前に出て、声を張る。

「彼は裏切り者じゃない。勇者としての道を、自分の意志で選んだんだ」


 だが魔族の一人、赤い双角を持つ戦士ガルヴァが吼えた。

「人間など信用できるものか! まして勇者だと? こやつは俺たちを滅ぼすために剣を振るってきたのだぞ!」


 広間にざわめきが走る。

 リオネルの眼差しが揺らぎ、唇が固く結ばれる。


---


### 3


 そのとき、ゼノが剣の柄に手を置きながら一歩前へ出た。

「なら、俺が保証する。リオネルは戦場で俺たちと肩を並べた。命を懸けて瘴気の残滓を斬ったんだ」


 ミレイアも声を重ねる。

「彼がいなければ、私たちはあの場で死んでいました。……それは紛れもない事実です」


 魔族たちのざわめきは収まらなかったが、少なくとも彼らの言葉は重みを持っていた。


---


### 4


 僕はリオネルに視線を向ける。

「リオネル。お前自身の言葉で答えろ。なぜここに来たのか」


 広間の空気が一層張り詰める。

 リオネルは聖剣を腰に収め、まっすぐに前を見据えて言った。


「俺は勇者だ。だが、人間の王も教会も……俺を道具としか見なかった。

 アレン、お前と戦って気づいたんだ。勇者である前に、俺は“俺自身”でいたい。

 だから――ここで共に戦う」


---


### 5


 その言葉に、広間が静まり返る。

 怒声も嘲笑も消え、ただ炎の音だけが響いた。


 やがてガルヴァが低く唸り、腕を組む。

「……口先だけであれば、今すぐ斬り捨ててやるところだ。だが……その眼は本物らしい」


 他の魔族たちも、まだ完全には受け入れないまでも、敵意を少しだけ引いたように見えた。


---


### 6(ラスト)


 リオネルは深く息を吐き、僕の方を振り返る。

「……これが俺の始まりだ。裏切り者としてでも、俺は俺の道を選ぶ」


 その姿は孤独でありながらも、確かな誇りをまとっていた。


 ――勇者リオネル。

 彼の新たな旅路は、今ここから始まったのだ。


---



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