第12章 決別か共闘か
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城壁の上に立つ兵士たちが一斉に弓を構えた。
甲冑の光がきらめき、緊張が空気を締め上げる。
「魔王を捕らえろ! 勇者様も確保せよ!」
将校らしき男の声が響いた。
リオネルが低く呻く。
「……“確保”だと? 俺は勇者だぞ……!」
その言葉には、裏切られたような痛みが滲んでいた。
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### 2
ゼノが前に出る。
「アレン、どうする? このままじゃ蜂の巣だぞ」
僕は周囲を見回す。
退路は瓦礫で塞がれ、背後は崩れた街並み。
正面突破しかない。だが、問題は――。
リオネルの存在だ。
彼は王国にとっても僕たちにとっても“特別”すぎる。
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### 3
ミレイアが小さく囁く。
「彼を……連れていけるんですか?」
僕は答えられなかった。
だが、リオネル自身が動いた。
聖剣を構え、兵士たちに向かって歩み出す。
「俺を……勇者を、道具のように扱うつもりか」
その声は低く、だが鋭い刃のようだった。
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### 4
兵士たちがざわめく。
「勇者様が……魔王と共に……?」
「いや、討伐対象だ! 撃て!」
矢が一斉に放たれる。
僕は黒炎で障壁を作り、ゼノが剣で弾き、ミレイアが光の壁を展開した。
リオネルは叫ぶ。
「俺は……誰の命令でもなく、この剣を振るう!」
聖剣の光が矢を焼き払い、兵士たちを退ける。
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### 5
戦場は混沌と化した。
人間の兵と、魔王の眷属。
その狭間に立つリオネル。
彼の存在はもはや、どちらの陣営にも収まらない。
だからこそ――僕は声をあげた。
「リオネル! 俺と来い! お前の戦う意味を、俺たちと探せ!」
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### 6(ラスト)
リオネルの瞳が揺れる。
兵士たちの怒号、剣戟の音、矢の唸り――すべての中で、彼は選ばねばならなかった。
「……アレン……」
短く名を呼び、彼は聖剣を振り下ろした。
その刃は――兵士たちを退け、僕たちの方へと道を開く。
「……俺は、お前と共に行こう」
こうして、勇者リオネルは人間の国を捨て、“魔王と共に歩む道”を選んだ。
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