第10章 勇者の咆哮
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聖剣が光を放った瞬間、広場全体が白く染まった。
瘴気が焼かれ、影の残滓が悲鳴をあげて後退する。
「リオネル……!」
ゼノが驚愕の声を上げる。
リオネルは血まみれの顔で、それでも確かな眼差しを取り戻していた。
「俺は……勇者だ。使命ではなく……俺自身の意志で!」
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### 2
彼は影の群れに飛び込む。
聖剣が閃くたび、黒い残滓が裂け、光の粉となって消えていった。
その姿は、まさにかつての勇者のものだった。
「おおおおおおっ!」
咆哮と共に、光の波動が広場を覆い尽くす。
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### 3
だが影も黙ってはいない。
無数の顔を浮かべ、呻き声を重ねながらリオネルに群がる。
「ころせ……われらを……」
その声は苦痛と解放を乞う混じり物。
「ならば、俺が……終わらせてやる!」
リオネルの剣が閃き、影の中心を貫いた。
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### 4
僕も黒炎を放ち、リオネルと肩を並べて戦う。
ゼノは背後から突撃し、ミレイアは詠唱で光の結界を張る。
「アレン! 同時に叩くぞ!」
「応ッ!」
声を合わせ、僕たちは残滓を一気に追い詰めていった。
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### 5
広場の中心に、影が巨大な塊となって立ち上がる。
人の顔が幾百も重なり、絶叫を繰り返す。
「これが……奈落の残滓の本体か……!」
ゼノが呻く。
「ならば……!」
リオネルは聖剣を振りかざし、叫んだ。
「勇者リオネルの名において、ここで討ち果たすッ!」
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### 6(ラスト)
聖剣の光が天を裂き、奈落の残滓を貫く。
影の塊は絶叫を上げ、霧散していった。
その瞬間、瓦礫に差し込む陽光が広場を照らす。
リオネルは膝をつき、荒い息を吐きながらも微笑んだ。
「……俺は……まだ……勇者で……いられるのか……」
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