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『神様のバグで死んだけど、リスポーン地点が世界のラスボス城でした』  作者: 匿名希望
目覚めたら魔王城

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第8章 人間側の葛藤



### 1


 雨上がりの野営地。

 勇者アレンは焚き火の前で剣を磨いていた。刃に映る自分の顔は、疲労と焦燥で険しい。


「……おかしい」

 彼は小さく呟いた。


「どうしたの、アレン?」

 僧侶の少女・セリアが薬草をすり潰しながら顔を上げる。


「魔王の力だ。報告にあった魔族とは次元が違う……あれは本当に人間を滅ぼす怪物なのか?」


「でも……!」

 セリアの声が強張る。

「私たちの村は魔族に襲われたのよ。父さんも母さんも……」


 その瞳に涙がにじむ。

 アレンは言葉を失い、握る剣に力を込めた。


---


### 2


 弓使いのロイドが口を挟む。

「それにしても妙じゃねぇか。あの“雷”も、“召喚”も……どこか偶然に見えた。計算された力には感じなかった」


 沈黙が落ちる。

 確かに、魔王の行動はどこか不自然だった。

 堂々と立ち尽くすだけで周囲が動き出す……。


「でも、偶然であんな力を操れるもの?」

 セリアが反論する。


「偶然だろうが演出だろうが、被害は出てる」

 ロイドは焚き火を見つめながら低く言った。


---


### 3


 魔導師のカナが小さく笑った。

「面白いじゃない。もし本当にハッタリなら……私たちが暴いてやればいい」


「カナ!」

 セリアが眉をひそめる。


「だってそうでしょ。あれだけの軍勢が“魔王”を信じて動いてる。力が本物でなくても、信じさせるカリスマがあるってこと」


 火の粉が舞い上がる。

 その赤い光の中で、カナの瞳が妖しく光っていた。


「人間の敵は、力そのものじゃなく“信仰”かもしれないわね」


---


### 4


 アレンは深く息を吐いた。

 剣を鞘に収め、仲間を見渡す。


「いずれにせよ……俺たちがやるべきことは変わらない。魔王を倒す。それが世界を救う唯一の道だ」


 彼の言葉に、皆が黙って頷いた。

 だが胸の奥には、それぞれ別の迷いが巣くっていた。


 セリアは復讐心と慈悲の板挟みで。

 ロイドは真実を見抜こうとする理性で。

 カナは“敵のカリスマ”に興味を覚えて。


 そしてアレン自身も――本当に剣を振るう理由を、見失いかけていた。


---


### 5


 夜が更ける。

 風に揺れる焚き火の音だけが響く。


(……魔王。お前は一体何者なんだ?)

 アレンは目を閉じ、心の中で問いかけた。


---



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