第7章 決断の刃
### 1
廃墟の広場に、緊張が走った。
風が吹き、崩れた石壁の破片を転がす。
互いの呼吸すら重く感じられるほどの静寂。
僕は剣を握りしめ、リオネルを見据えた。
彼の体は限界に近い。
それでも、瞳だけは折れていなかった。
「魔王……俺はお前を倒す。そのために生き延びてきた」
リオネルの声は震えながらも、強い意志を宿していた。
---
### 2
ゼノが一歩踏み出す。
「お前は勇者だったはずだ。なぜ憎しみに飲まれた?」
「憎しみじゃない……使命だ!」
リオネルは聖剣を掲げる。
「勇者とは魔王を討つ者。その定めから逃れることはできん!」
彼の叫びに、ミレイアが首を振った。
「勇者は使命じゃない……人を救う心が勇者を勇者たらしめるの!」
---
### 3
言葉が交錯し、空気が震える。
だが、リオネルの足は止まらなかった。
彼は聖剣を振り上げ、僕に向かって突き進む。
「アレンッ!」
ゼノとミレイアが叫ぶ。
僕は黒炎の剣を構え――だが、心は揺れていた。
---
### 4
(殺すか、救うか……)
ここでリオネルを斬れば、すべてが終わる。
だが、彼を救えたなら――勇者としての真の意味を取り戻せるかもしれない。
僕の中で、二つの声がせめぎ合う。
魔王としての冷酷な理性と、人としての希望。
---
### 5
聖剣と黒炎が激突した。
光と炎が迸り、瓦礫を吹き飛ばす。
その瞬間、僕の脳裏に過去の光景がよぎった。
リオネルがかつて人々を守り、笑っていた姿。
まだ闇に堕ちる前の、真の勇者の姿。
「……リオネル……!」
---
### 6(ラスト)
僕は全力で黒炎を叩きつけ――同時に、その刃を逸らした。
致命を狙うのではなく、彼の剣を弾き飛ばす一撃。
聖剣が手を離れ、瓦礫に突き刺さる。
リオネルは膝をつき、呆然と僕を見上げた。
「……なぜ……殺さない……?」
その問いに、僕は答えた。
「お前を……救いたいからだ」
---




