第3章 陽光の下で
### 1
――眩しい。
瓦礫を押し分け、崩れた裂け目から外へ飛び出した瞬間、世界は光に包まれた。
長い闇の奈落で戦い続けた目には、太陽の光が鋭い刃のように突き刺さる。
思わず目を細めながら、僕は荒い呼吸を吐き出した。
「……戻ってきた……地上に……」
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### 2
廃墟と化した都市の残骸が広がっていた。
瓦礫の山、崩れた塔、黒煙を上げる広場――
すべてが死闘の余波で破壊され、見る影もない。
だが、それでも空は青く、風は吹いていた。
暗黒の奈落に閉じ込められていた身には、それだけで奇跡のように思えた。
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### 3
崩れた地面の裂け目から、もう一つの影がよじ登ってくる。
リオネルだ。
彼もまた満身創痍で、聖剣を杖にして立ち上がる。
血に濡れた顔で、なお僕を睨みつけていた。
「……生き延びたか、魔王……」
「お前こそ、しぶといな……」
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### 4
しばしの沈黙。
吹き抜ける風の音だけが、荒廃した大地に響く。
互いに剣を握り直す力も残っていなかった。
もし今ここで斬り合えば、勝者はどちらもなく、ただ共に倒れるだけだろう。
――だから、僕たちは動かなかった。
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### 5
遠くで鳥が鳴いた。
地上の音。
命がまだ残っていることを告げる、静かな調べ。
僕はその声を聞きながら、胸の奥がじわりと熱くなるのを感じた。
まだ、生きている。まだ、ここにいる。
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### 6(ラスト)
やがてリオネルは、聖剣を地面に突き立てた。
そのまま言葉もなく、荒廃した都市の向こうを見つめている。
僕もまた剣を収め、深く息を吐いた。
陽光の下、僕たちは再び対峙することを避け――ただ、生を確かめるように立ち尽くしていた。
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