第11章 黒炎の覚醒
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リオネルの変貌した姿を前に、僕の黒炎は押し潰されつつあった。
剣を握る手は震え、肺は焼けつくように熱く、視界は赤黒く霞んでいく。
――これ以上は、勝てないのか?
その瞬間、頭の奥底に声が響いた。
低く、重く、だが確かに僕自身のもの。
『まだだ……力を恐れるな……解き放て……』
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### 2
胸の奥から黒炎が逆流するように広がっていく。
熱く、痛く、だが心のどこかで懐かしい。
忘れていた感覚――僕がかつて魔王と呼ばれていた頃の“本来の力”。
「……そうか……俺は、まだ封じていたんだな」
震える手をゆっくりと下ろし、意識を炎の奥へ沈めていく。
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### 3
次の瞬間、奈落を覆うほどの黒炎が爆発した。
ただの炎ではない。
光を呑み、影を喰らい、存在そのものを焼き尽くす“深淵の火”。
「なっ……!」
リオネルの表情が初めて歪む。
「これほどの力を……まだ隠していたのか!」
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### 4
黒炎は形を変え、翼となり、鎧となり、剣と一体化する。
炎ではなく――意思を持つ存在のように、僕の体に纏わりついた。
「……これが……俺の黒炎の真の姿」
口から血を拭い、ゆっくりと剣を構える。
炎が轟き、奈落の影すらかき消すほどの輝きを放った。
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### 5
「リオネル……今度は俺がお前を超える番だ!」
黒炎の剣が振り抜かれる。
リオネルの影翼と激突し、爆音が奈落全体を揺るがした。
「面白い! それでこそ戦う価値がある!」
リオネルは狂気の笑みを浮かべ、聖剣をさらに深く振り下ろす。
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### 6(ラスト)
黒炎と光が衝突し、奈落の壁を崩壊させながらせめぎ合う。
だが今度は、僕が一歩も引かなかった。
黒炎が炎ではなく“力”として、僕の体を支えていたからだ。
「これで……決着をつける!」
僕の咆哮と共に、黒炎はさらに燃え上がった。
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