第6章 崩壊の夜
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黒炎と聖光がぶつかり合い、廃都全体が震動した。
瓦礫の塔が崩れ、地面に大きな亀裂が走り、地下にまで轟音が響き渡る。
夜空は赤黒く染まり、炎と光が交じり合って不気味に輝いていた。
まるでこの都そのものが、戦いに耐え切れず悲鳴をあげているかのようだった。
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リオネルは笑みを浮かべたまま、聖剣を振り抜く。
「見ろ! この光を! 俺こそが真の勇者だ!」
その一撃が瓦礫を粉砕し、炎を押し返して迫ってくる。
僕は必死に黒炎を叩きつけ、衝撃を相殺した。
「勇者を名乗るなら――アレンの名を超えてみせろ!」
僕の叫びに、リオネルの瞳が一瞬だけ鋭く揺れた。
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### 3
だが戦況は悪化していく。
兵たちは次々と倒れ、廃都の防衛線は崩れ始めていた。
敵軍は瓦礫を踏み越え、魔族の抵抗を圧倒しながら迫ってくる。
「……このままじゃ全滅だ」
歯を食いしばる僕の横で、ゼノが低く呟く。
「奴らはただの兵ではない。勇者の力に魅入られ、狂信者と化している……」
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### 4
ミレイアが血に濡れながらも立ち上がり、槍を構える。
「ご主人様……まだ……戦えます……!」
「無理するな! お前まで失ったら……!」
思わず声が震えた。
だが、彼女は弱々しくも笑った。
「ご主人様が……生きていてくださるなら……それで……」
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### 5
リオネルが聖剣を掲げ、最後の一撃を放とうとしていた。
「終わりだ、魔王!」
聖光が天空を裂き、巨大な柱となって降り注ぐ。
僕は残る力を全て黒炎に注ぎ込んだ。
「まだ……終わらせない!」
炎と光が衝突し、世界そのものが崩れるかのような轟音が響いた。
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### 6(ラスト)
――その瞬間、廃都の地下が限界を迎えた。
地盤が崩落し、瓦礫の街が轟音と共に沈んでいく。
兵も、魔族も、王国軍も、すべてを巻き込んで奈落へ。
僕とリオネルもまた、崩壊する大地に呑み込まれていった。
夜空に響くのは、崩壊と絶望の咆哮だった。
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