第2章 闇に潜む策謀
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敗戦から三日。
僕たちは北方の廃都へと撤退していた。
かつて栄華を誇った魔族の都――今は瓦礫と廃墟が広がるだけの場所。
だが、そこにはまだ地下の迷宮が残っており、隠れ家として利用できた。
傷ついた兵たちは松明の灯りの下でうめき声をあげ、魔導師たちは治療と結界の維持に追われている。
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僕は玉座の間だった場所に腰を下ろし、報告を聞いていた。
魔将たちの表情は暗い。
「このままでは……次の進軍を防げませぬ」
「勇者リオネルの力は、もはや災厄そのもの。兵の心も折れております」
その言葉に沈黙が落ちる。
皆が口にしないが、全員が「次に戦えば滅ぶ」と理解していた。
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ミレイアが口を開いた。
「……ご主人様。ひとつ、王国に内通する者を捕らえました」
その言葉に空気が一変した。
「なに……?」
ミレイアの合図で兵が連れてきたのは、若い魔族の兵士だった。
縄で縛られ、必死に弁解を口にする。
「ち、違う! 俺は……ただ、家族を守りたかっただけで……!」
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尋問の末、衝撃的な事実が明らかになる。
――王国は魔族の村々に「勇者に従えば命は助ける」と布告していたのだ。
兵の一部はそれに屈し、密かに情報を流していた。
「王国め……!」
魔将の一人が怒りで机を叩く。
だが僕は違和感を覚えていた。
(リオネルが現れた途端、まるで用意されていたかのように広がる布告……これは偶然じゃない)
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僕は考えを巡らせる。
リオネルの出現も、王国の策略も、あまりにも出来すぎている。
――まるで、裏で糸を引く者がいるかのように。
ふと背後の影が揺らぎ、低い声が響いた。
「……気づいたか」
姿を現したのは、黒衣の魔導師ゼノ。
彼は僕の古い知人であり、今は放浪の身だったはず。
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### 6(ラスト)
ゼノは薄笑いを浮かべて言った。
「リオネルは“造られた勇者”だ。神の奇跡などではない。
――だが、その背後にいる存在は、お前の想像を遥かに超えている」
その言葉に、玉座の間は凍りついた。
僕は拳を握りしめる。
「……裏で何が起きている?」
闇に潜む策謀の正体を追うため、新たな戦いが始まろうとしていた。
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