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『神様のバグで死んだけど、リスポーン地点が世界のラスボス城でした』  作者: 匿名希望
目覚めたら魔王城

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第6章 勇者パーティ来襲・前哨戦



### 1


 その日は突然だった。


 魔王城の結界が低く震え、警鐘が鳴り響いた。

 兵士たちが一斉に走り出す。空気がざわつき、焦げた匂いが漂う。


「敵襲です!」

 見張りの声が轟いた。


 僕は玉座の間で報告を受け、血の気が引いた。

「え、え、敵って……人間?」


「はい。しかもただの兵ではありません」

 ゼフィルスが険しい顔で告げる。

「勇者一行です」


(……勇者!? マジで出ちゃったよ!)


---


### 2


 城門前の広場に出ると、四人の人影が立っていた。

 陽光を反射する剣を構える青年。

 祈りの言葉を口にしながら聖なる光を纏う少女。

 大弓を背負った狩人風の男。

 そして杖を手にした魔導師。


 ――まさに教科書に載せたいくらいの勇者パーティ。


「ここが魔王城か……!」

 剣を握る青年が叫ぶ。瞳は真っ直ぐに、憎悪と使命感で燃えている。


「人間の敵め。今日こそ滅ぼす!」


 背筋に冷たいものが走った。

(ちょ、ちょっと待て! 僕、敵どころか元は同じ人間なんだけど!?)


---


### 3


「陛下。どうかお下がりを」

 ゼフィルスが前に出ようとした瞬間、勇者の剣が閃いた。


「魔族どもは下がれ! 狙いは魔王だ!」


 光の斬撃が一直線に飛んでくる。

 咄嗟に目を閉じた。


 ――しかし衝撃は来なかった。

 恐る恐る目を開けると、ゼフィルスの漆黒の翼が盾のように広がり、光を弾き返していた。


「無礼者め……!」

 ゼフィルスの声が低く響く。


---


### 4


 勇者一行と魔族兵がぶつかり合った。

 矢が飛び、魔法が炸裂し、石畳が砕ける。

 火花と叫び声が交錯する戦場。


 僕は完全に場違いだった。

(やばいやばいやばい! これ、ゲームなら即全滅パターンだよ!?)


 だけど、全員の視線が時折僕に向く。

 勇者側は「魔王を倒す」という目で。

 魔族側は「陛下ならどうされるか」という期待の目で。


(……頼むから見るなぁぁぁ!)


---


### 5


 必死に頭を回転させる。

 僕にできるのは……ハッタリしかない。


 剣を振り上げる勇者に向かって、両手を広げた。

「……我が力を恐れぬか、人間ども!」


 声を張り上げ、ただ立ってみせた。


 ――その瞬間。


 城の奥から轟音が響き、地面が揺れた。

 どうやら地下に封印されていた魔物が、戦闘の衝撃で目を覚ましたらしい。


 黒煙と共に、巨体のドラゴンが姿を現した。


「な、なにっ!?」

 勇者が目を見開く。


(うそ、偶然!? 僕の演出に見えてる!?)


---


### 6


 魔族兵が一斉に叫ぶ。

「さすが陛下! 召喚を発動なされた!」

「これが魔王様の真の力!」


 勇者たちは明らかに怯んでいた。

 ドラゴンの咆哮に圧倒され、後退を余儀なくされる。


「……撤退だ!」

 勇者が叫び、光の魔法で仲間を守りながら退却していった。


 やがて静寂が訪れる。


---


### 7


 ゼフィルスが振り返り、深々と頭を垂れた。

「お見事です、陛下。勇者すら退けるとは……」


 兵士たちも一斉に跪き、歓声を上げる。


「陛下万歳!」

「これで我らの勝利は揺るぎません!」


 ……いやいやいや。違うんだって!

 僕はただ叫んだだけ。ドラゴンが勝手に出てきただけ!


 でも誰も疑わない。

 信じ切った瞳が、僕に突き刺さる。


(……これ、もう完全に引き返せないやつだな)


---




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