第6章 魂の解放
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光が爆ぜ、全身を貫いた。
眩しさに視界を失い、意識すらも裂かれるような痛み――。
それでも僕は歯を食いしばり、必死に踏みとどまった。
「……っ、これは……!」
胸の奥が焼けるように熱い。まるで魂そのものがむしばまれているかのようだった。
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### 2
隣でアレンが膝をつく。
彼の腕に浮かんでいた呪印が、赤黒い光を放ちながら崩れ落ちていく。
その度に彼の顔色は青ざめ、血の気を失っていった。
「アレン!」
僕が駆け寄ろうとした瞬間、彼が弱々しく笑った。
「……大丈夫だ。これで……鎖は消える」
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### 3
視界の端で、内界の鎖が次々と砕け、光となって散っていくのが見えた。
それはまるで、長き呪縛から解放された魂の断片のようだった。
『……契約、解放……』
最後に化身の声が遠ざかり、内界そのものが崩れ落ちる。
僕とアレンの身体は、光の奔流に呑み込まれていった。
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### 4
次に気づいた時、僕たちは現実の石板の前に倒れていた。
呪印の石板はひび割れ、中心から砕け落ちている。
赤黒い光は完全に消え、ただの石の残骸となっていた。
「……やったのか」
僕が呟くと、アレンが苦笑を浮かべた。
「ようやく……自由になれた」
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### 5
その笑みは確かに晴れやかだった。
だが、同時に彼の身体は限界を迎えていた。
力を使い果たし、膝が崩れ、聖剣さえ支えられずに地に落ちる。
「おい、しっかりしろ!」
僕が肩を支えると、アレンはかすれた声で呟いた。
「……もし……また会えたら……その時は……敵じゃなくて……」
言葉の続きを告げる前に、彼の瞳が閉じられた。
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### 6(ラスト)
「アレン!」
僕の叫びが、崩れ落ちた神殿に虚しく響く。
――勇者の魂は、確かに解放された。
けれどそれは、彼の命の灯火をも奪うことになったのだ。
僕の胸に、どうしようもない重みだけが残った。
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