第4章 呪印の石板
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赤黒い霧が裂け、その中心に――漆黒の石板が浮かんでいた。
高さは人の背丈ほど、表面には無数の鎖の紋様が刻まれ、脈打つように赤黒い光を放っている。
まるで心臓の鼓動のように、ずしん、と空気が揺れた。
「……これが、“呪印の石板”」
僕の声は、無意識に震えていた。
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### 2
アレンが剣を構え、険しい顔で言う。
「近づくだけで、契約の鎖が俺を引き裂こうとする……」
その腕には再び赤黒い紋様が浮かび上がり、皮膚を焦がしていく。
「無理するな!」
僕が叫ぶと、アレンはかすかに笑った。
「無理をしなきゃ……未来は変えられないだろ」
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### 3
その時、石板から声が響いた。
低く、重く、金属を擦り合わせるような声――。
『……我は契約。
血と誓いを糧とし、命を縛り、未来を喰らう』
聖騎士たちが恐怖に膝をつき、神官すら祈りの言葉を忘れて沈黙する。
それは神か、悪魔か――人知を超えた存在の響きだった。
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### 4
「……石板そのものが意志を持っているのか」
僕は歯を食いしばり、黒炎を灯す。
『抗うか……魔王よ。
ならばその代償は、貴様の魂』
赤黒い鎖が石板から飛び出し、蛇のように僕とアレンへと襲いかかる。
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### 5
アレンが聖剣を振り抜き、僕が黒炎で迎撃する。
だが鎖は再生を繰り返し、いくら斬っても焼いても止まらない。
「キリがない……!」
「なら、核を叩くしかない!」
僕たちは視線を交わし、同時に石板の中心へ飛び込んだ。
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### 6
その瞬間、視界が赤黒く歪む。
気づけば、僕とアレンはどこか異質な空間に立っていた。
足元は鎖の海、頭上は血の月――。
そこに、巨大な鎖の化身が鎮座していた。
『……ここが契約の内界。
我を滅するには、己の存在を賭けるしかない』
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### 7(ラスト)
アレンが隣で剣を構え、僕も黒炎を燃やす。
「魂を賭けろだと……ふざけるな」
「俺たちは未来を賭けるんだ!」
二人の声が重なり、光と炎が爆ぜた。
――呪印の石板との、決戦が始まった。
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