第3章 宝物庫の攻防
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王城地下――。
分厚い石壁に囲まれた回廊を進むと、重苦しい空気が肌を刺すようにまとわりついてきた。
やがて、宝物庫の前にたどり着く。
巨大な扉の前には、銀の鎧を纏った聖騎士たちが無言で立ち塞がっていた。
その数、十数名。
「……簡単には通してくれそうにないな」
アレンが小さく息を吐く。
僕は頷き、黒炎を指先に灯した。
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### 2
次の瞬間、聖騎士の一人が気づき、鋭く叫んだ。
「侵入者だ! 魔王と……勇者!?」
ざわめきが走る。
その混乱の隙に、僕は黒炎を放つ。
炎の奔流が床を走り、騎士たちを大きく弾き飛ばした。
だがすぐに聖歌が響き、白光の障壁が炎を押し返す。
神官たちが背後から現れ、祈りを捧げていた。
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### 3
アレンが剣を抜き、前に出る。
「任せろ!」
聖剣が閃き、迫る障壁を一刀両断にした。
光と炎が交錯し、地下は昼のように明るくなる。
「まだいけるか」
僕が問うと、彼は歯を食いしばりながら頷いた。
「お前に救われた命だ……ここで使わずにどうする!」
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### 4
戦いは苛烈を極めた。
聖騎士たちは一糸乱れぬ陣形を組み、神官の加護で即座に傷を癒す。
対して僕とアレンは、互いの隙を補うように動いた。
僕の黒炎が障壁を砕き、アレンの剣が鎧を裂く。
敵が反撃すれば、僕が防ぎ、アレンが切り開く。
まるで長年の同志のように、息が合っていた。
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### 5
だが、宝物庫の扉が低く唸りを上げる。
中から溢れ出したのは、赤黒い霧――契約の呪力そのものだった。
「……まさか、石板が自ら守りを展開しているのか!」
老魔導師の言葉を思い出す。
(呪印の石板……ただの記録ではなく、意思を持つ“生きた封印”!)
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### 6
霧は触れた兵を蝕み、悲鳴と共に肉体を崩壊させていく。
騎士たちすら例外ではなく、次々と倒れていった。
「まずい……このままじゃ全員呑み込まれる!」
アレンが顔をしかめる。
僕は黒炎を全開にして叫んだ。
「アレン! 同時に斬るぞ!」
「――ああ!」
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### 7(ラスト)
黒炎と聖剣の光が重なり、霧の中心へと突き刺さった。
轟音が地下を揺らし、赤黒い霧が一瞬だけ裂ける。
そこに、呪印の石板が姿を現した――。
禍々しい光を放ち、鎖のような紋様を蠢かせながら。
(あれを……破壊する!)
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