第1章 共闘の誓い
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夜明けの光が王都を照らす頃、僕と勇者アレンは廃墟と化した郊外の小さな礼拝堂に身を寄せていた。
彼の体はまだ呪術の残滓に蝕まれており、額からは冷や汗が流れている。
「……まだ動くな。無理をすれば、また鎖が暴れる」
そう告げながら、僕は黒炎を指先に灯し、彼の傷口を焼いて封じた。
苦痛に顔を歪めながらも、アレンは笑う。
「敵の魔王に手当てされる勇者なんて……皮肉なもんだな」
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「もう“敵”とは言えないだろ」
思わず返すと、アレンは一瞬目を伏せた。
「……ああ。お前が俺を救ったのは事実だ」
沈黙が流れる。
互いに立場は違えど、共有する痛みと鎖は同じだった。
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### 3
やがてアレンは、震える声で口を開いた。
「俺は……王国を信じて剣を振るってきた。
だがあいつらは、俺をただの駒として鎖に繋いだ。
……なら、俺はもう、勇者でいる意味を失ったのかもしれない」
その言葉は自嘲であり、同時に助けを求める声でもあった。
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### 4
「違う」
僕は強く言い切った。
「勇者という名は王国のものじゃない。お前が誰のために剣を振るうかで決まるんだ」
アレンがはっと顔を上げる。
「俺は……まだ、誰かのために戦えるのか」
「俺たちのために。未来のために」
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### 5
その瞬間、アレンの瞳に再び光が戻った。
彼はゆっくりと右手を差し出す。
「なら、誓おう。お前と共に……鎖に抗う」
僕はその手をしっかりと握り返した。
熱が伝わる。敵と味方を超えた、同志の証だった。
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### 6(ラスト)
廃墟の窓から差し込む光が、二人の手を照らす。
それはまるで、新しい時代の夜明けのようだった。
「これが俺たちの――共闘の誓いだ」
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