表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『神様のバグで死んだけど、リスポーン地点が世界のラスボス城でした』  作者: 匿名希望
血塗られた契約

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

48/141

第12章 血の夜明け



### 1


 夜明け前の空は、まだ濃紺の闇に包まれていた。

 その中で、王国と魔族双方の軍勢が密かに動き始めている。

 血の契約が発効した今、いずれ大戦が勃発するのは避けられない。


 だが僕は、別の道を選んだ。

 ――勇者を救い出す。

 それこそが、鎖を断ち切る唯一の希望だった。


---


### 2


 密偵の報告によれば、勇者アレンは王都の地下聖堂に幽閉されている。

 契約の錨として、命を削られるように呪術に縛られて。


「奴らは勇者を“人質”としか思っていない……」

 僕は幹部たちを前に告げた。

「だが、俺は違う。アレンを救う。それがこの戦の始まりだ」


---


### 3


 老魔導師が頷き、黒き杖を掲げる。

「陛下の意志に従いましょう。我らは戦う。

 鎖に縛られぬ未来のために」


 兵士たちの咆哮が夜を震わせる。

 恐怖を超え、希望へと変わったその声は、確かに軍を一つにしていた。


---


### 4


 夜明け直前。

 僕は前線に立ち、王都を遠望した。

 高い城壁、その奥にある聖堂の尖塔が、月光を浴びて冷たく輝いている。


(アレン……待っていろ。必ず、お前を鎖から解き放つ)


 握った拳に、黒炎が静かに宿った。


---


### 5


 その時、風が吹き抜ける。

 ふと、背後から声がした。


「本当に……俺を救うつもりか」


 振り返れば、そこに立っていたのは――勇者アレン。

 王国の拘束を抜け出したのか、それとも契約に導かれてか。


---


### 6


 彼の瞳は赤黒い光に蝕まれていた。

「契約が俺を縛る……意思に反しても、剣はお前を討とうとする……」


 アレンの手には、すでに聖剣が握られていた。

 だが、その刃は震え、彼の意思と呪術の狭間で揺れている。


---


### 7


「ならば抗え。俺と共に!」

 僕は叫び、黒炎を燃やした。


「呪いに負けるな! お前は王国の駒じゃない!」


 アレンの瞳に、わずかに光が宿る。

 それは、かつて湖畔で見た揺らぎと同じ――真実を求める光だった。


---


### 8


 夜明けが訪れる。

 東の空が赤く染まり、最初の光が差し込む。

 血の契約が脈動を強め、赤黒い鎖がアレンを縛ろうと襲いかかる。


 僕はその鎖に飛び込み、黒炎で焼き払った。

 苦痛が全身を走る。だが構わない。


「アレン……! 共に未来を掴むんだ!」


---


### 9(ラスト)


 聖剣が震え、そして――鎖を断ち切るように閃光を放った。

 アレンの瞳から赤黒い光が消え、代わりに澄んだ青が戻っていく。


「……俺は……まだ……!」

 彼は膝をつきながらも、必死に息を吐いた。

「鎖を……断ち切れる……!」


 血の夜明けは、確かに始まった。

 それは戦いの始まりであり、同時に解放への第一歩でもあった。


---



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ