表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『神様のバグで死んだけど、リスポーン地点が世界のラスボス城でした』  作者: 匿名希望
血塗られた契約

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

41/137

第5章 勇者の葛藤



### 1


 王都の奥深く、勇者アレンは重厚な石壁に囲まれた執務室に呼び出されていた。

 机の上に置かれていたのは――あの「血の契約」。


 王直属の魔導官が、淡々と説明を始める。

「これが陛下の決定である。

 勇者殿、あなたも名を記すことで、この契約の守護者となるのです」


---


### 2


 アレンの瞳が怒りに揺れる。

「……これは、人間のための和平ではない。ただの支配だ」

「勇者殿、言葉をお慎みください」

 魔導官の声は冷ややかだった。


「だが……魔族との戦を避ける唯一の道は、これしかない」

 その言葉には一片の迷いもなかった。


---


### 3


 アレンの拳が震える。

「俺は……民を守るために剣を取った。だが、こんな契約で縛りつけられたら……」

 彼の脳裏に浮かぶのは、森の中で交わしたあの言葉。


――『俺に証明してみせろ。言葉じゃなく、行動で』


 魔王を名乗るあの青年の真剣な瞳が、今も胸を突き刺していた。


---


### 4


 その時、扉の外から重い声が響いた。

「迷うな、アレン」

 現れたのは王国宰相リュシオン。

 彼は威圧的な笑みを浮かべ、契約書を指差した。


「お前は国に仕える剣。疑念を抱く余地などない。

 署名せよ、それが勇者の役目だ」


---


### 5


 アレンは宰相を睨み返す。

「……もし俺が拒めば?」

「裏切り者として処刑されよう」

 その答えは、あまりにもあっけらかんとしていた。


 宰相は続ける。

「だが心配するな。魔族が契約を破れば、奴らは自滅する。

 お前はただ見届ければいい。血に縛られた“勝利”を」


---


### 6


 アレンの喉が焼けるように乾いた。

 契約に署名すれば、確かに戦は一時的に避けられる。

 だがその先に待つのは、魔族の奴隷化と勇者自身の鎖。


(俺は……どちらを選ぶ? 国か、自分の信じる正義か)


---


### 7(ラスト)


 やがてアレンは深く息を吐き、契約書に視線を落とした。

 赤黒い文字が、血に飢えた獣のように脈動して見える。


 ペンを取るか、拒むか――決断の瞬間は、目前に迫っていた。


---



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ