表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『神様のバグで死んだけど、リスポーン地点が世界のラスボス城でした』  作者: 匿名希望
血塗られた契約

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

40/137

第4章 血塗られた契約



### 1


 数日後。

 再び現れた王国の使者セルヴァンは、今度は重厚な箱を携えていた。

 黒い蝋で封じられたその箱からは、ぞわりと肌を刺すような気配が漂っていた。


「これが、王国の誠意にございます」

 セルヴァンの口元には、あの薄い笑み。

 箱が開かれると、中から一枚の羊皮紙が取り出された。


---


### 2


 羊皮紙には、血のように赤黒い文字が浮かんでいた。

 見慣れない古代語――だが直感で理解できた。

 これは、ただの条約ではない。


「……呪術契約、か」

 側にいた老魔導師が低く唸る。

「血で名を記せば、魂に刻まれる。破れば血が沸騰し、命を落とす」


 幹部たちの顔色が一斉に変わった。


---


### 3


 セルヴァンは飄々と語る。

「互いに裏切らぬための“保障”にございます。

 王国も血を捧げますゆえ、ご安心を」


 しかし条文には一方的な要求が並んでいた。

 領土の割譲、魔族の奴隷化、そして――勇者の監督権を王国が握ること。


 つまり、この契約は勇者アレンまでも縛る仕掛けだった。


---


### 4


 幹部の一人が憤然と立ち上がる。

「ふざけるな! これでは我らの滅亡と同じだ!」

「今すぐこの場で首を落としてやる!」


 剣が抜かれ、緊張が走る。

 だがセルヴァンは怯むどころか、むしろ挑発するように目を細めた。

「拒むなら、王国は総力を挙げて討伐に動くでしょうな。勇者様も、従うしかありません」


---


### 5


 僕は羊皮紙を睨みつけた。

 血の契約――これに署名すれば、魔族は二度と自由を得られない。

 だが拒めば、全面戦争。


(選ばされている……どちらにせよ血が流れる)


 その時、不意に胸に浮かんだのはアレンの姿だった。

 あの契約は、彼の魂までも鎖で縛る。


---


### 6


 僕は低く告げた。

「……答えは今、出せない。条文を精査させろ」


 セルヴァンはあっさりと頷いた。

「ええ、陛下。ご賢明な判断を」


 羊皮紙を置いたまま、使者は背を向けて去っていった。


---


### 7(ラスト)


 残された広間に重苦しい沈黙が落ちる。

 蝋燭の炎が羊皮紙の文字を揺らし、血のように赤黒く輝いていた。


(俺は……この鎖を受け入れるのか。それとも……)


 決断の時は、確実に迫っていた。


---




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ