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『神様のバグで死んだけど、リスポーン地点が世界のラスボス城でした』  作者: 匿名希望
血塗られた契約

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第3章 勇者の影



### 1


 和平の使者が去った夜。

 地下神殿の外、森は濃い霧に包まれていた。

 その静けさの中で、異様な気配を感じて僕は立ち上がる。


(……誰かが、近づいている)


 兵を呼ぼうとした瞬間、黒い影が木々の間から現れた。

 月明かりに浮かぶ姿は――勇者アレンだった。


---


### 2


 咄嗟に身構える僕に、アレンは剣を抜かなかった。

 代わりに右手を挙げ、静かな声で告げる。

「安心しろ。今夜は斬りに来たわけじゃない」


「……なら、何しに来た」

 僕の問いに、アレンは短く息を吐いた。

「確かめに来たんだ。王国の“和平”が、本物かどうか」


---


### 3


 その言葉に、胸がざわつく。

「お前も……気づいているのか」

「火矢の件だ。俺は兵を守るため戦場を駆け回っていたが……あれが偶然じゃないことくらい分かっている」


 アレンの瞳には苦悩が宿っていた。

「王国は、俺さえも囮にして魔王を討とうとした……そうなんだろう?」


 答えられなかった。だが、沈黙が答えに等しかった。


---


### 4


「……じゃあ、俺は何のために剣を振っているんだ」

 アレンの声は掠れていた。

「祖国のため? 民のため? それとも……権力者の都合のためか?」


 その問いに、僕は思わず叫んでいた。

「お前が守ろうとしたものは、確かにそこにあったはずだ! 兵士も、民も……!」


 互いの声が森に反響する。


---


### 5


 アレンは俯き、長い沈黙の後で小さく呟いた。

「……もし、お前が本当に人間を滅ぼす気がないのなら」

 顔を上げたその目は、真剣そのものだった。

「俺に証明してみせろ。言葉じゃなく、行動で」


---


### 6


 言葉を返そうとした瞬間、遠くで角笛の音が響いた。

 森に緊張が走る。

「……王国の追手か」

 アレンは振り返り、剣を抜いた。


「今は、ここまでだ。また会う」

 そう言い残し、霧の中へと姿を消した。


---


### 7(ラスト)


 残された僕は、胸を押さえながら立ち尽くす。

 勇者は敵か、味方か――まだ分からない。

 けれど確かに、彼の心にも揺らぎが生まれている。


(いずれ、決断の時が来る……俺も、アレンも)


---




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