第11章 崩れる戦場
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空を覆った火矢が、戦場を地獄に変えていた。
炎が大地を走り、両軍の兵士が混乱の渦に呑まれていく。
「ぎゃあああ!」
「火を消せ! 水を!」
悲鳴と怒号が入り乱れ、もはや軍としての形は崩壊していた。
王国軍も、魔族軍も――区別なく炎に焼かれている。
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僕は黒炎を広げ、迫り来る火矢を相殺しながら叫んだ。
「全員、後退しろ! 陣形を立て直せ!」
しかし兵たちは混乱のあまり耳を貸さない。
仲間を捨てて逃げ出す者、怒り狂って敵に突撃する者――バラバラだった。
(このままじゃ……全滅だ!)
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その時、側近のリィナが血に濡れた顔で駆け寄ってきた。
「あなたが……声を上げて! 皆、あなたを見てるのよ!」
「俺を……?」
振り返ると、確かに兵たちの視線が僕に集まっていた。
恐怖に揺れながらも、何をすべきかを求める目――。
魔王として、指揮を執ることを。
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胸が重くなる。
僕は“魔王”なんかじゃない。偽物だ。
それでも――今、決断しなければ誰も生き残れない。
息を吸い込み、喉が焼けるほどの声を張り上げた。
「俺の背に集まれ! 生きたいなら、俺と共に戦え!」
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一瞬、静寂が走った。
そして――炎に照らされながら、兵士たちが次々と僕の後ろに集まってくる。
恐怖に震えながらも、その背に縋るように。
人間王国の軍も、混乱のあまり攻めきれず後退していく。
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アレンが遠くからその光景を見つめていた。
炎に包まれた戦場で、魔王の名を持つ男が人々を導く姿。
(あれが……本当に、魔王なのか? 俺が斬るべき存在なのか?)
勇者の心に、さらに深い迷いが刻まれていった。
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### 7
僕は剣を掲げ、燃え盛る空に黒炎を放った。
「撤退路を開け! 負傷者を守れ!」
その声に応じて兵たちが動き出す。
混乱していた戦場が、少しずつ秩序を取り戻していった。
偽物の魔王が――初めて軍を導いた瞬間だった。
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