第8章 開戦
### 1 夜明けの突撃
夜が明け、曇天の空を軍鼓が震わせた。
地平線を埋め尽くす王国軍の松明が消え、かわりに槍と旗が林立する。
「進軍――!」
号令とともに、五万の兵が咆哮をあげた。
鉄の波が地を揺るがし、戦場へと押し寄せてくる。
その先頭に、勇者アレンが立っていた。
剣を抜き、仲間と共に疾走する。
彼の瞳には迷いが宿りながらも、その足取りは止まらなかった。
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### 2 魔族軍の迎撃
崩れた魔王城の前、土嚢と柵で築かれた防衛線に魔族軍が集結していた。
角笛が鳴り響き、兵たちは武器を掲げる。
僕は黒炎を纏い、前線に立った。
「敵は五万! だが俺たちは退かない!
ここが俺たちの国だ――守り抜く!」
その声に、兵たちが雄叫びを返す。
恐怖に震えながらも、その瞳には決意が宿っていた。
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### 3 激突
轟音とともに、両軍がぶつかり合った。
槍と剣が火花を散らし、矢の雨が空を覆う。
血と叫びが大地を染め、戦場は一瞬で地獄と化した。
「押し返せ!」
僕は黒炎の刃を生み出し、敵兵を弾き飛ばす。
炎は仲間を焼かぬよう、必死に制御する。
その傍らでラヴィアが光の結界を展開し、無数の矢を弾き返した。
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### 4 勇者の剣
対するアレンは、敵陣を切り裂きながら突き進む。
その剣は人智を超え、炎すら両断して道を拓く。
「退けえええ!」
兵たちが勇者に続き、魔族の防衛線を揺さぶる。
だがアレンの胸には、焦燥と痛みがあった。
(なぜだ……なぜ、あの“魔王”の顔が脳裏をよぎる!)
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### 5 戦場の混沌
バルドは巨剣を振るい、数十人の兵をまとめて薙ぎ払った。
「来い、人間ども! 我が剣で試してくれる!」
ゼフィルスは冷徹に指揮を執り、兵の配置を操る。
「左翼を支えろ! 弓兵、狙いを崩すな!」
戦場は渦を巻き、誰もが必死に生き延びようとしていた。
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### 6 邂逅の予感
混乱のただ中で、僕は遠くに勇者の姿を見た。
炎を裂き、兵を導くその剣の輝き。
間違いなく――アレンだ。
そして、彼もまたこちらを見つけていた。
互いに敵軍の中心にいながら、その視線が交わる。
(また……戦うのか)
(俺は……討たねばならないのか)
二つの思いが、戦場を超えて重なった。
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### 7
戦鼓と悲鳴の中で、戦はさらに激しさを増していく。
剣と炎が交差し、矢が空を覆い尽くす。
誰もが生きるために、死の淵で足掻いていた。
そして――
勇者と“魔王”の道が、ついに再び交わろうとしていた。
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