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『神様のバグで死んだけど、リスポーン地点が世界のラスボス城でした』  作者: 匿名希望
真実を裂く刃

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第2章 疑念の火種



### 1


 地下通路を抜けた僕たちは、崩れ落ちた魔王城の外に出た。

 黒煙が立ち昇り、空を覆っている。

 群衆はまだ動揺の最中にあり、兵たちが必死に統制を取ろうとしていた。


「陛下、ご無事ですか!」

 駆け寄ってきた兵士の瞳に浮かぶのは、安堵と不安の入り混じった色だった。


 その視線を背後から鋭く貫いたのは――四天王の一人、**バルド**。


---


### 2


 黒鉄の鎧に身を包み、巨躯を揺らすバルドは、威圧そのものだった。

 彼は僕に近づき、低く唸るように言い放つ。


「陛下……勇者との戦い、見させてもらいましたぞ」


 その声には、敬意よりも疑念が込められていた。


「本当に、あなたは“魔王”なのですか?」


 その場の空気が凍りついた。


---


### 3


 ゼフィルスが一歩踏み出し、剣に手をかける。

「バルド、無礼だぞ!」

 だがバルドは睨み返し、一歩も退かない。


「無礼を承知で申し上げる。

 ――あの黒炎、確かに魔王の力に似ていた。だが、同時に“異質”でもあった」


 民衆の中からざわめきが広がる。

「偽物なのか……?」

「勇者が本物なのか?」

 疑念が火のように燃え広がっていった。


---


### 4


 僕は必死に声を張る。

「俺は……魔王だ! 偽物かどうかなんて関係ない! 俺が玉座に座り、民を守っている、それが事実だ!」


 その言葉に、兵の一部はうなずいた。

 だがバルドはなおも視線を逸らさない。


「言葉で玉座を守れるものか……。力で証明していただきたい」


 その宣告は、まるで決闘の申し込みのようだった。


---


### 5


 ゼフィルスとラヴィアが同時に叫ぶ。

「陛下に刃を向けるつもりか!」

「今はそんな時じゃない!」


 だがバルドは動じない。

「民は見ているのです。勇者に押され、玉座を崩された陛下を。

 ……今こそ示す時。偽りか、真か」


 重苦しい沈黙が群衆を支配する。

 疑念は火種となり、いつ爆ぜてもおかしくない。


---


### 6


 僕は唇を噛んだ。

 勇者と戦った直後の傷はまだ疼いている。

 それでも、逃げればすべてを失う。


「……分かった。証明してやる」


 自分でも驚くほど、声は震えていなかった。


---


### 7


 バルドの瞳に、わずかな笑みが浮かぶ。

「よろしい。ならば、この戦場で」


 巨躯が歩み出るたび、大地が揺れるように感じた。

 群衆が息を呑み、広場に張り詰めた空気が漂う。


 こうして――

 偽りの魔王と、四天王の一角との戦いが避けられぬものとなった。


---



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