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『神様のバグで死んだけど、リスポーン地点が世界のラスボス城でした』  作者: 匿名希望
真実を裂く刃

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第1章 崩れ落ちる玉座


### 1


 黒い炎と聖なる光がぶつかり合った瞬間――玉座の間全体が軋みを上げた。

 石造りの柱が砕け、天井に大きな亀裂が走る。


「危ない! 陛下!」

 ゼフィルスが僕の腕を引き、崩れ落ちる瓦礫の下から身をかばう。


 土煙が立ち込め、視界はほとんど奪われていた。

 ただ、勇者アレンの瞳だけが光の中に浮かび上がっていた。


---


### 2


「これ以上は危険だ! 一時退くぞ!」

 ラヴィアが叫び、結界を張りながら僕たちを守る。


 アレンは剣を振りかざし、なおも前に進もうとするが――大広間そのものが悲鳴を上げるように揺れ、瓦礫が彼の前を塞いだ。


「……っ」

 アレンは立ち止まり、剣を握りしめたまま僕を見つめる。


 その瞳に宿るのは、憎しみでも嘲りでもない。

 ただ――強い疑問と、決意。


---


### 3


 煙の向こうから声が響いた。

「魔王……次に会うとき、お前を必ず討つ!」


 断ち切るような宣告。

 そして、視界は崩落で完全に遮られた。


---


### 4


「陛下、こちらです!」

 ゼフィルスが道を切り開き、僕たちは辛うじて玉座の間を抜け出した。


 背後で轟音が鳴り響く。

 かつて栄華を誇った玉座は、今や瓦礫に埋もれ、もはや戻れぬ過去となった。


---


### 5


 地下通路を進みながら、僕は肩を押さえた。

 勇者の剣が掠めた傷はまだ熱を帯び、体内を黒い炎が駆け巡っているようだった。


「……これは、本当に俺の力なのか」

 自分でも信じられなかった。

 ただの人間にすぎなかったはずの僕が、どうしてあんな……。


---


### 6


 ラヴィアが険しい顔で言う。

「陛下……今の力は、魔王しか扱えぬはずのものです。いったい、あなたは……」


 言葉が途中で途切れる。

 ゼフィルスもまた、僕を見つめる視線に複雑な色を宿していた。


 仲間ですら、僕を信じきれなくなりつつある――その現実に胸が痛んだ。


---


### 7


 だが足を止めてはいけない。

 人間の勇者が現れ、玉座が崩れ落ちた今、魔族の国は分裂の危機に瀕していた。


 背後から怒号が聞こえる。

「魔王は偽物だ!」

「勇者こそ真の王だ!」

「いや、陛下を信じろ!」


 地下通路を抜けた僕の耳に届いたのは、民衆の分断の叫びだった。


---


### 8


 空を仰ぐと、黒煙が渦を巻いていた。

 かつて「玉座」と呼ばれた象徴は崩れ去り、そこに残ったのは――偽りの魔王としての僕だけ。


 けれど、退くわけにはいかなかった。

 勇者の眼差しに映った疑念と決意が、今も胸を灼いて離れない。


「……逃げるのは、もう終わりだ」


 瓦礫に覆われた城を背に、僕は拳を握りしめた。


---



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