第10章 勇者との邂逅
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重苦しい民衆の声に包まれたまま、僕は玉座の間に囚われていた。
処刑を望む叫びが渦巻く中、城門の方から轟音が響く。
「報告! 人間の勇者一行が城門に到達しました!」
兵士の声に、群衆がどよめく。
「勇者……!」
「ついに決戦か!」
血の気が引いた。
(まさか、この状況で……!?)
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やがて、大扉が開かれた。
陽光が差し込み、その中に立っていたのは――勇者アレン。
白銀の鎧をまとい、剣を腰に携えた姿は、まるで光そのものの化身のようだった。
「……魔王」
アレンの瞳が僕を捉える。
群衆がざわめき、やがて静まり返った。
すべての視線が、僕と勇者に注がれている。
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### 3
アレンは一歩踏み出し、声を響かせた。
「人間の王より命を受けた。我ら勇者一行は、この地に住まう魔族の脅威を討つ」
その言葉は正義の宣告のように響いた。
民たちが歓声を上げる。
「勇者だ! 勇者が我らを救う!」
「偽りの王など不要だ! 勇者こそ真の希望!」
叫びは熱狂に変わっていく。
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### 4
僕は立ち上がり、必死に声を振り絞った。
「待て! アレン! 俺は……!」
言葉を続けようとした瞬間、アレンの剣が鞘から引き抜かれた。
刃が光を反射し、広間を照らす。
「……言い訳は無用だ。俺は迷った。だが今は決めた。
――魔王、お前を討つ」
その瞳に迷いはなかった。
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ゼフィルスとラヴィアが前に出る。
「勇者! 陛下は裏切ってなどいない!」
「彼を信じて! あなたの敵は、本当に魔王なの!?」
だが、アレンは首を横に振った。
「俺は正義を選ぶ。たとえそれが血にまみれる道であっても」
静寂が落ちる。
次の瞬間、剣先がまっすぐ僕に向けられた。
玉座の間に張り詰めた空気――それは、いつ戦いが始まってもおかしくないほど緊迫していた。
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