第9章 断罪の声
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翌日――城の大広間。
僕は玉座に座らされていた。両脇には武装した兵士。
いつもと同じ場所なのに、居心地はまるで断頭台だった。
大扉が開かれ、民や兵たちが次々と集められていく。
やがて、広間は人々のざわめきで満ちた。
「本当に……陛下が裏切りを?」
「信じられん……いや、やはり怪しかった」
「人間と通じていたなど……許されぬ!」
疑念と怒りの声が、波のように押し寄せてくる。
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参謀グロウが一歩前に出て、群衆に語りかけた。
「皆の者! 魔王陛下のもとに、人間の王国からの“密書”が発見された。
そこには、陛下が勇者と通じ、魔族を裏切ろうとしていたと記されていたのだ!」
人々がざわめき、怒号が広がる。
「なんということだ……!」
「偽りの王に従っていたのか!」
「処刑しろ! 魔族を裏切る者など不要だ!」
広間を埋め尽くす声は、熱狂と恐怖に満ちていた。
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僕は立ち上がり、必死に叫んだ。
「違う! これは罠だ! 信じてくれ!」
だが、その声は嘲笑にかき消される。
「罠だと? ではこの証拠は何だ!」
「勇者と戦ったというが、陛下は剣を抜かなかった!」
「やはり最初から……!」
言葉は刃となり、胸に突き刺さった。
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ゼフィルスとラヴィアが群衆の前に立ちはだかる。
「待て! 陛下はまだ何も証明されていない!」
「そうよ! 私たちは一緒に戦ってきた! 裏切り者なんかじゃない!」
二人の必死の訴えにもかかわらず、群衆の怒りは収まらなかった。
その矛先は二人にまで及び始める。
「お前たちも偽王の共犯か!」
「一緒に処刑すべきだ!」
ゼフィルスが剣の柄に手をかけ、ラヴィアが顔を青ざめさせる。
状況は一触即発だった。
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グロウが静かに両手を広げた。
「さあ、どうなさいますか、陛下。民がこれほどまでに処刑を望んでいる。
この声を無視することは……もはやできまい」
群衆の叫びが大広間を揺るがす。
「処刑を! 処刑を!」
僕は玉座の上で、凍りついた。
もはや、誰も僕の言葉を信じてはいない――。
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