第7章 揺らぐ信頼
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玉座の間にて。
兵士たちが集まり、ざわめきが止まなかった。
「裏切り者は誰だ……」
「まさか、陛下の近しい者の中に……?」
不穏な視線が僕の仲間たちへも向けられている。
ゼフィルスとラヴィアが並んで立ち、兵たちの声を遮った。
「静まれ!」
ゼフィルスの一喝に、場がようやく静まり返る。
だがその静けさは、嵐の前触れのように重苦しかった。
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兵を下がらせたあと。
広間に残ったのは僕と、側近の二人――ゼフィルスとラヴィアだけ。
ゼフィルスは冷ややかな視線を僕に向け、口を開いた。
「陛下……正直にお答えください。あの日、戦場で放たれた光――あれは、本当に陛下の力なのですか?」
胸の奥が凍りついた。
隣でラヴィアも真剣な顔で僕を見つめている。
「わ、私は……」
声が震える。
答えを出せば全てが崩れる。答えなければ、疑いが深まる。
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### 3
ラヴィアが一歩踏み出す。
「陛下、私は信じたい……けど、城中に噂が広まってる。
このままじゃ、兵士たちは陛下に背を向けてしまうわ」
「……!」
ラヴィアの目は揺れていた。信じたい、でも怖い。
その葛藤が痛いほど伝わってきた。
「もし……もし陛下が私たちを欺いていたのなら……」
言葉を切り、彼女は拳を握り締めた。
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### 4
ゼフィルスが低い声で続ける。
「真実を語るべき時です、陛下。……我らは、陛下の剣となるために命を懸けてきた。
ですが――“偽りの王”に仕えているのなら、それは我らにとって裏切りに等しい」
突きつけられた言葉に、足元が崩れるような感覚を覚えた。
(ゼフィルス……ラヴィア……君たちまで……!)
視界が滲む。
答えようとしても喉が塞がり、言葉にならなかった。
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### 5
沈黙の中で、ゼフィルスは剣の柄に手をかけた。
ラヴィアも息を呑む。
「……陛下。私はまだ、信じたい。けれど……答えを示さなければ、兵たちを抑えられません」
その瞬間――背後の扉が軋み、グロウが姿を現した。
「ふむ……どうやら、陛下は仲間からも信を失っているようですな」
その声は、毒のように冷ややかだった。
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