第3章 狼煙の中の真実
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### 1
狼型の魔物たちは次々と襲いかかってきた。
鋭い牙が迫るたび、レオンの剣が閃光を描き、火花と血飛沫を散らす。
カイルは二刀を自在に操り、背後から迫る敵を切り裂き、リディアの放つ火球が闇を照らした。
ミナはしなやかな身のこなしで群れを翻弄し、爪で一撃を与えてはまた跳躍する。
だが、数が多すぎた。
倒しても倒しても、新たな影が草原の闇から溢れてくる。
「おかしい……こんなに数がいるはずがない!」
リディアが顔を歪めた。
「自然発生した群れじゃない。誰かが、意図的に――」
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### 2
その時だった。
町の外れで火柱が上がった。
赤黒い煙が狼煙のように夜空へ立ち昇り、群れの動きが一斉に変わる。
まるで操られているかのように、彼らは隊列を組み始めたのだ。
「……やはりか」
レオンは歯を食いしばる。
煙の中に、黒いローブを纏った人影が立っていた。
その手には、禍々しい光を放つ石板のようなもの。
「貴様……!」
カイルが唸る。
人影は不気味に笑った。
「勇者の名を継ぐ者よ。辺境の地など、我らにとってただの実験場にすぎん」
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### 3
町を守る兵士たちがざわめき、恐怖で後退しかける。
だが、レオンは一歩前に出た。
「お前が群れを操っているのか……!」
「その通りだ。神の御業を否定した愚か者に、未来などない。
人は神の定めに従うしかないのだ」
その言葉に、レオンの胸に怒りが燃え上がった。
あの王都での裁きを思い出す。
人が選び、人が進むと誓ったはずの道を、再び踏みにじろうとする存在。
「俺たちは神に操られるために生きてるんじゃない!
自分の足で未来を歩くんだ!」
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### 4
叫びと共にレオンが飛び出す。
魔物たちを斬り伏せながら一直線に人影へと迫る。
カイルとミナが左右から援護し、リディアが詠唱を完成させる。
「《雷撃槍》!」
稲妻が夜空を裂き、ローブの男の前に突き刺さった。
だが、男は結界を展開して防ぎ切る。
「小癪な……だが無駄だ。この石板がある限り、魔物は尽きぬ!」
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### 5(章の締め)
男の声と同時に、さらに多くの狼が闇から現れた。
町を囲む柵が悲鳴を上げ、木片が飛び散る。
民衆の叫びが上がる中、レオンは剣を強く握りしめた。
「だったら、その石板を砕くまでだ!」
闇に包まれた辺境の町に、再び剣戟の音が響き渡った。
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