第12章 決戦の暁
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### 1
鐘の音が止み、広場に緊張が張りつめる。
聖女セラフィナは祭壇に立ち、両腕を広げて叫んだ。
「さあ、神の裁きを受けよ!
真なる勇者は、今ここで証明される!」
その声に応えるように、ユリウスが剣を抜き放つ。
白銀の光が刃を包み、群衆から歓声が上がった。
一方で、鎖に繋がれたレオンは静かに目を閉じていた。
だが、彼の胸からあふれる想いが光となり、鎖を包み込む。
――カラン。
音を立て、鎖は砕け散った。
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### 2
群衆が息を呑む。
レオンはゆっくりと立ち上がり、剣を構える。
その刃にも、確かな光が宿っていた。
「……神の裁き? いいや、これは俺たち人間の選択だ。
誰を信じ、何を守るのか――決めるのは俺たち自身だ!」
その叫びに、民衆の胸が震えた。
セラフィナの顔が引きつる。
「黙れ! 神を否定する言葉は許されない!」
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### 3
ユリウスが突進する。
鋭い斬撃がレオンを襲い、火花が散る。
二人の剣はぶつかり合い、空気が震えるほどの衝撃が広場を走り抜けた。
「偽者がぁああああっ!」
「俺は偽物じゃない! ただの“人間”だ!」
互いの叫びがぶつかり合い、剣と共に魂をぶつけ合う。
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### 4
戦いは熾烈を極め、石畳が砕け、群衆は必死に距離を取った。
だが誰ひとり目を逸らさない。
――彼らは、神の裁きではなく、人の意志の戦いを見届けようとしていた。
やがてユリウスの動きに焦りが滲み始める。
剣筋が乱れ、叫び声が怒号に変わる。
「なぜだ! なぜお前が光を放てる!」
レオンは息を切らしながらも答えた。
「答えは簡単だ……俺は、誰かを守りたいと願っているからだ!」
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### 5
その瞬間、群衆の中から声が上がった。
「レオン様こそ……真の勇者だ!」
「いや、勇者なんて称号はいらない! 彼は“人を守る者”だ!」
声は広がり、セラフィナの祈りの声をかき消していく。
彼女の手から聖典が滑り落ち、地面に重い音を立てて倒れた。
「な……ぜ……神は沈黙を……?」
セラフィナの瞳が大きく揺らぎ、絶望の影が差す。
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### 6(ラスト)
決定的な一撃。
レオンの剣がユリウスの剣を打ち砕き、彼を地に叩き伏せた。
静寂。
そして、夜明けの光が広場を包み込む。
民衆は見ていた――神ではなく、人が選び取った光景を。
レオンは剣を下ろし、ただひとつの言葉を呟いた。
「これが……俺たちの暁だ」
その瞬間、王都に新たな朝日が昇った。
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