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『神様のバグで死んだけど、リスポーン地点が世界のラスボス城でした』  作者: 匿名希望
「勇者たちの分岐点」

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第9章 裂けゆく絆



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### 1


 王都の空は黒煙に覆われていた。

 火の手はすぐに鎮火されたが、燃え盛る炎が人々の心に植え付けたのは恐怖と不信だった。


「聖女様は神の声を聞けないのでは……」

「勇者は二人、いや、どちらも偽りなのかもしれぬ」

「この国は……もう終わりだ」


 誰もが囁き、互いに顔色を伺いながら生きる。

 その不安は、仲間たちの間にさえも静かに忍び込んでいた。


---


### 2


 宿の一室。

 レオンは仲間と共に集まっていたが、空気は重く沈んでいた。

 治癒魔法を施してくれた僧侶の少女ミリアが、唇を噛みしめながら声を上げる。


「ねぇ、レオン……あなたは、本当に勇者なの?」


 部屋の空気が凍りつく。

 彼女の目は涙で揺れながらも、疑念を拭えずにいた。


「だって……聖女様が“偽り”だと断言しているのよ。

 もしも……もしもあなたが偽物なら、私は――」


 言葉を最後まで言えず、ミリアは俯いた。


---


### 3


 仲間の戦士ダリオが立ち上がり、怒鳴る。

「ミリア! 何を言ってる! レオンがどれだけの人を救ってきたと思ってるんだ!」


 だが彼の拳も震えていた。

 ――心の奥底に、小さな疑念が芽生え始めているからだ。


 レオンは深く息を吸い込み、静かに口を開いた。

「……俺は“勇者かどうか”なんて気にしてない。

 ただ、俺は……守りたいんだ。命も、笑顔も、この街の未来も」


 その言葉に一瞬、場が静まり返ったが、誰も完全には納得できない。


---


### 4


 一方その頃、ユリウスは王城の庭で剣を振るっていた。

 血走った目で、休むことなく剣を振り下ろし続ける。


「偽物が……俺の光を奪った……」

 その呟きは次第に呪詛のように変わっていく。


 そこへ、聖堂騎士長が近づき、ひざまずいた。

「ユリウス様。どうかご自愛を……しかし、あの混乱を収めるには、あなたの存在こそ必要なのです」


 ユリウスは剣を止めずに答える。

「ならば、偽者を討つ……それが俺の役目だ」


---


### 5


 夜。

 レオンは一人、街を歩いていた。

 人々の視線は冷たく、囁きは耳に突き刺さる。


「……あれがもう一人の勇者か」

「災いを呼び込んだ存在だ」


 彼は黙って受け止めながらも、心の奥で孤独が膨れ上がっていく。

 そこへ、フードを被った影が近づいた。


「勇者を名乗る若者よ……君は利用されているだけだ」

「誰だ……?」

「真実を知りたければ、聖女の陰に潜む“もう一つの声”を探せ」


 言い残し、その影は闇に消えた。


---


### 6(ラスト)


 宿へ戻ると、仲間たちの間には冷たい沈黙が漂っていた。

 ミリアはレオンを見ようとせず、ダリオも拳を握りしめたまま俯いている。


 ――信じ合ってきた絆に、亀裂が走り始めていた。


 外では、夜風が王都を包み、どこからか不気味な鐘の音が響いていた。

 まるで、これから訪れる崩壊を告げるかのように。


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