表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『神様のバグで死んだけど、リスポーン地点が世界のラスボス城でした』  作者: 匿名希望
勝利の影に潜むもの

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

13/137

第1章 勝利の影に潜むもの



### 1


 戦の余韻がまだ漂う魔王城。

 広間は熱気に包まれていた。


「陛下万歳!」「人間どもなど恐れるに足らず!」

 兵士たちが杯を掲げ、歓声を上げる。

 豪奢な料理と酒が並び、勝利の宴が繰り広げられていた。


 僕は玉座に座り、笑みを作って応じる。

「うむ……よくやった。今日の勝利は、お前たち一人一人の勇気のおかげだ」


 声を張るたび、胸の奥で小さな罪悪感が疼いた。

(……本当は全部、偶然と誤解なんだけどな)


---


### 2


 ゼフィルスが杯を片手に進み出た。

「陛下の采配あっての勝利。魔族すべてがその御威光を信じております」


 兵士たちが一斉に頷き、再び「万歳!」の声が響く。

 その光景は、僕にとって誇らしくも恐ろしかった。


(この信頼が……全部“嘘”の上に成り立っているなんて)


---


### 3


 宴が続く中、部屋の片隅。

 黒衣の男――四天王の一人、参謀グロウは黙って盃を傾けていた。

 その眼差しは冷たく、笑っている兵士たちを見透かすようだ。


「……偽りの魔王、か」

 低く呟く。

 杯の酒よりも濃い、黒い野心がその胸に渦巻いていた。


---


### 4


 その夜。

 僕は宴の疲れで部屋に戻る途中、廊下でリュミエールに呼び止められた。


「陛下……お顔が優れませんね」

「……ちょっと、疲れただけだよ」


 リュミエールは心配そうに僕を覗き込み、声を落とした。

「……無理をなさらないでください。陛下は、“演じる”ことに慣れすぎているように見えます」


 ギクッと心臓が跳ねた。


「な、なにを……」

「ふふ。ごまかさなくても。……でも大丈夫。私は、陛下が“偽物”であろうと、“本物”であろうと……信じています」


 微笑みと共にそう囁く彼女の声は、やけに優しかった。


---


### 5


 一方その頃。

 暗い塔の一室で、グロウは密偵たちを集めていた。


「――やはりあの若造、魔王の器ではない」

 爪で机を叩きながら、不気味に笑う。


「兵どもは盲信している。だが、長くはもつまい。……時が来たら、“真の王”を示すのはこの私だ」


 部屋の空気が冷たく凍りついた。


---



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ