表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『神様のバグで死んだけど、リスポーン地点が世界のラスボス城でした』  作者: 匿名希望
「勇者たちの分岐点」

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

128/140

第6章 聖女の裁き



### 1


 剣と剣がぶつかり合う音が、王都の中央広場を震わせていた。

 火花が散り、石畳が削れ、観衆は悲鳴と共に後退する。

 だが誰ひとり、その場を去ろうとはしなかった。

 人々は固唾を呑んで見守っていた――「本物の勇者」を見極めるために。


 その群衆を見下ろすように、高台に立つ白き聖女セラフィナ。

 彼女は胸の前で祈りを結び、澄んだ声を響かせた。


「神よ。堕ちた勇者と真の勇者が争うこの場に、御身の裁きを示したまえ」


 次の瞬間、空が割れるように光が降り注いだ。


---


### 2


 天より舞い降りた二条の光が、戦う二人を包み込む。

 ユリウスの手に握られた聖剣が、白銀に輝く。

「見よ! やはりユリウス様だ!」

 群衆の一角から歓声が上がる。


 だが、すぐにレオンの剣もまた応えるように強く光を放った。

 金色の輝きが彼の全身を包み込み、石畳に影を長く落とす。


 ――二つの光は互いに拮抗し、どちらも消えなかった。


 広場にざわめきが広がる。

「なぜ……二人とも光を……?」

「神が二人の勇者を選んだというのか……?」


---


### 3


 セラフィナの顔がわずかに歪んだ。

 その瞳には戸惑いと焦燥が宿っていた。

「……そんなはずはない。神は唯一の勇者を選ぶ……それが理。

 なのに……なぜ……?」


 ユリウスは怒声を上げ、力任せに剣を振り下ろす。

「俺だ! 俺こそ選ばれし勇者だ! 貴様は偽者に過ぎない!」


 刃が交わり、耳を裂く衝撃音が広場を揺るがす。

 観衆は恐怖に押されながらも、目を逸らすことができなかった。


---


### 4


 レオンは歯を食いしばり、ユリウスの刃を受け止めながら叫んだ。

「神がどう言おうと関係ない!

 俺は、この手で守ってきた命を、偽りだなんて呼ばせない!」


 彼の言葉に、一部の民衆が涙を流し、また別の者は動揺を隠せず顔を覆った。

 ――“どちらが本物か”ではなく、“どちらを信じたいか”。

 人々の心は揺れ始めていた。


---


### 5


 セラフィナは必死に声を張り上げる。

「民よ! 惑わされてはなりません!

 神の声はひとつ! 裏切り者を討たねば、この世に未来は訪れぬ!」


 彼女の言葉と共に、ユリウスの剣が再び激しい光を放つ。

 それはセラフィナの祈りと共鳴しているかのようだった。


 だが、レオンもまた倒れずに立ち続けていた。

 血を流し、呼吸を荒げながら、それでも前を見据える。


「……俺は……俺自身の意志で立っている。

 それだけは、誰にも否定させない……!」


---


### 6(ラスト)


 二人の剣が再びぶつかり、天地を揺るがす閃光が走った。

 群衆の悲鳴、祈り、歓声が入り混じり、王都の広場は混沌に包まれる。


 その中で――聖女の裁きは未だ決着を見せなかった。

 むしろ裁かれるべきは「勇者」ではなく、「神託そのもの」ではないのか。


 そんな疑念が、人々の心の奥底に芽生え始めていた。


---




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ