第11章 決着の刻
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白光が収まった広場に、静寂が訪れた。
倒れているのは影の使徒。
立っているのは――ただ一人、レオンだった。
血に濡れ、傷だらけのその姿を、人々は息を呑んで見つめる。
「勇者様……勝った……!」
「本物だ……本物の勇者だ!」
歓声が上がりかけた瞬間、枢機卿の怒声がそれをかき消した。
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### 2
「愚か者どもが! まだ終わってはおらぬ!」
枢機卿は杖を掲げ、己の胸を突き刺した。
鮮血が溢れ、地面に散る。
その血は祭壇に吸い込まれ、広場全体を覆うほどの魔法陣を描き出した。
「我が身を供物に、神をこの地に降ろす……!」
空が裂け、禍々しい光が溢れ出す。
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### 3
ミレイアが蒼白な顔で叫ぶ。
「だめ……このままじゃ、この街どころか、王都全体が……!」
リオネルが歯を食いしばる。
「こいつ、自分を生け贄にして神を呼ぶ気か!」
僕は魔法の詠唱を試みるが、溢れる瘴気に押し潰され、声すらかき消される。
ただ一人、レオンだけが前を見据えていた。
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### 4
「枢機卿……お前は……どこまで人を犠牲にすれば気が済むんだ!」
レオンの声は怒りと悲しみに震えていた。
枢機卿は血に濡れた顔で笑う。
「犠牲? 違う……これは救済だ!
人の心は弱い。だからこそ神が導くべきなのだ!」
「そのために、命を弄ぶってのか!」
レオンの聖剣が光を放ち、彼は駆け出した。
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### 5
枢機卿の周囲に幾重もの闇の壁が立ちふさがる。
触れるだけで命を奪う瘴気の障壁。
だがレオンは躊躇わない。
「俺は……みんなを守る!
そのためなら、どんな闇だって斬り裂く!」
聖剣が煌めき、闇を次々と切り裂いていく。
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### 6(ラスト)
ついにレオンは枢機卿の前に辿り着いた。
血まみれの男は、なおも狂気に満ちた瞳で彼を睨む。
「来い、勇者よ! お前の剣で、この身を供物にせよ!」
「違う……お前を斬るんじゃない。
俺は――この狂気を断ち切る!」
聖剣が振り下ろされ、枢機卿と祭壇を同時に貫いた。
眩い閃光が広場を覆い、全ての闇を飲み込んでいく。
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