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『神様のバグで死んだけど、リスポーン地点が世界のラスボス城でした』  作者: 匿名希望
目覚めたら魔王城

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第12章 迫り来る総力戦


### 1


 大地が震えた。

 見渡す限りの平原に、人間軍が押し寄せていた。旗が林立し、鎧の輝きが朝日を反射する。


「……すごい数だ」

 僕は思わず呟いた。数千、いや万はいるかもしれない。


 城壁の上で魔族兵たちがざわめく。

「人間軍が……」「これほどの大軍を……」


 ゼフィルスが厳しい表情で進み出る。

「陛下、ここが決戦の刻です。どうか、ご采配を」


(やばいやばいやばい! 采配とか、完全に無理ゲーじゃん!)


---


### 2


 それでも僕は、深呼吸して前に出た。

 兵士たちの目が、一斉に僕に向けられる。

 震える声を必死に張り上げた。


「恐れるな! 我が一睨みで、この大軍すら塵と化す!」


 一瞬の沈黙。

 次の瞬間――


 空が轟いた。


---


### 3


 雲間から雷鳴がとどろき、突風が吹き荒れる。

 その風に煽られ、城壁の巨大な旗が翻る。


 炎のように燃える魔王の紋章。


「う、うおおおお!」

「陛下が天を支配なされた!」


 兵士たちが一斉に膝をつき、歓声を上げる。


(ちょ……本当にただの天気なのに!? 神様、タイミング良すぎ!)


---


### 4


 だが人間軍も動いた。

 号令と共に矢の雨が降り注ぐ。


「守れ!」

 ゼフィルスが翼を広げ、兵士たちが盾を掲げる。

 金属の衝突音、魔法の爆裂音が響き渡る。


 戦場は一瞬で修羅場に変わった。

 叫び声、剣戟、土煙。

 僕はただ立ち尽くし、心臓を鷲掴みにされたように鼓動を感じていた。


---


### 5


 その時。

 背後の大広間で、リュミエールが呪文を唱え始めた。


「陛下の御力を、この儀式で増幅します!」


 魔法陣が輝き、まるで僕の足元から光が立ち昇っていく。

 兵士たちが一斉に叫ぶ。

「見よ! 陛下の真なる姿を!」


(ちょっ、これ完全に僕がやったことにされてる!?)


 だがもう止められない。

 光の柱が天を貫き、戦場全体を照らした。


---


### 6


 人間軍の先陣が怯んだ。

「ば、馬鹿な……あれが魔王の力……!」


 勇者アレンも剣を握りしめ、歯を食いしばる。

「……やはり、俺が……この魔王を討たなければ!」


 光に照らされた彼の横顔は、決意と迷いが入り混じっていた。


---


### 7


 戦は膠着したまま夜を迎えた。

 両軍とも大きな損耗は避け、退却の号令が響き渡る。


 闇に包まれた戦場に、疲労と緊張だけが残った。


---


### 8


 魔王城へ戻った僕は、兵士たちの歓声に迎えられた。

「陛下万歳!」「これで人間どもも恐怖する!」


 玉座に座らされる僕。

 その声を聞きながら、心の中で叫んでいた。


(……僕は、ただの偽物だ。偶然と誤解で“魔王”になっただけ。それなのに……こんなにも期待されてる)


 胸の奥で、罪悪感と責任感が渦を巻く。

 同時に、抗えないほどの熱も湧いていた。


(だったら――もう逃げない。最後まで演じ切る。偽りの魔王として、みんなを導く!)


---


### 9


 遠く離れた人間の陣営では、勇者アレンが天を仰いでいた。

「魔王……あいつは何者なんだ……?」


 彼の胸にもまた、憎しみと同じくらいの迷いが育ち始めていた。


---



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