第5章 影を超える剣
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王都西門前。
レオンは血に濡れながらも、なお聖剣を握り直していた。
一方のカイルは表情ひとつ変えず、ただ剣を振るう。
その一撃は重く、正確で、容赦がない。
だがレオンの瞳には、消えぬ炎が燃えていた。
「俺は……お前を超える」
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### 2
カイルの剣が鋭く突き込まれる。
レオンは咄嗟に受け止め、歯を食いしばる。
ガキィィン! 衝撃で腕が痺れる。
それでも踏みとどまり、足を動かす。
――受けるだけじゃない。
攻めて、切り開くんだ。
レオンは自らの型を崩し、新たな動きで剣を振り抜いた。
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### 3
ガァン!
カイルの鎧に初めて傷が刻まれる。
群衆がどよめく。
「当たった……!」
「勇者様が……!」
枢機卿が苛立ちを隠せず叫んだ。
「怯むな! それはお前の影にすぎぬ!」
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### 4
カイルの剣筋は、依然としてレオンをなぞるものだった。
だが、レオンは自分自身を超えようとしていた。
「俺は……型に縛られない!
教会に決められた勇者でもない!
俺は――俺自身の勇者だ!」
その叫びと共に、聖剣が鮮烈な光を放つ。
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### 5
カイルの剣と、レオンの剣が正面からぶつかり合う。
ドガァァン!
光と闇の衝撃が爆ぜ、群衆が思わず身を伏せる。
やがて――レオンの剣が勝った。
カイルの剣は折れ、鎧に深々と聖剣が突き立つ。
「――っ……!」
初めて、カイルの瞳に揺らぎが生まれた。
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### 6(ラスト)
レオンは荒い息を吐きながら告げる。
「お前は影だ。
でも影は……光があるから生まれる。
なら俺は――俺の光でお前を斬る!」
聖剣が振り抜かれ、カイルの身体を貫いた。
偽りの勇者の影が崩れ落ち、光の粒となって夜空へ消えていく。
人々は静まり返り――そして、割れるような歓声が広場を包んだ。
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