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『神様のバグで死んだけど、リスポーン地点が世界のラスボス城でした』  作者: 匿名希望
目覚めたら魔王城

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第11章 勇者と魔王、邂逅の刻


### 1


 夜明け前。

 霧の深い渓谷を渡る一本橋の上で、僕は勇者と対峙していた。


 斥候が「勇者が潜入を試みている」と報告したため、ゼフィルスたちが出撃。

 けれど、なぜか僕自身も戦場に引き出されてしまったのだ。


 橋の向こう、剣を構える青年。

 ――勇者アレン。

 その瞳は真っ直ぐに僕を射抜く。


(うわ……やばい。勇者本人と真正面で……! どうする俺!?)


---


### 2


 アレンが声を張った。

「……お前が魔王か」


 低く、揺るがない声。

 僕は喉がひりつきながらも、玉座で鍛えた“威厳ボイス”を思い出す。


「そうだ。我こそが魔王……人間どもを裁く者だ」


 アレンの眉が僅かに動く。

 その沈黙が怖かった。


「……お前は、本当に“魔王”なのか?」


 ドキッとする。

(な、なにその直球質問!?)


---


### 3


 僕は視線を逸らさず、ゆっくり答えた。

「……魔王とは名であり、役割だ。血も生まれも関係ない。必要とされた者が魔王となる」


 これは、嘘じゃない。

 嘘と本音の中間の言葉。


 アレンはじっと僕を見つめた。

 剣先はわずかに揺れたが、まだ下ろさない。


「……ならば問う。お前は人間を滅ぼす気か?」


 心臓が跳ねる。


(僕は……滅ぼすなんて絶対したくない。でも、それを言ったら……魔族に疑われる)


 喉が詰まる。


---


### 4


 沈黙を破ったのは、アレンの叫びだった。

「俺は……お前を斬らねばならない! 仲間の命を奪った魔族の王だから!」


 その剣には怒りと悲しみが混ざっていた。

 村を焼かれた子ども。家族を失った少女。仲間を喪った戦士。

 アレンはその声を背負って立っている。


 僕は言葉を返せなかった。

 ――だって僕だって知っている。墓前で泣いていた魔族の少女の声を。


(人間も魔族も、互いに同じように憎しみを抱えてるんだ……)


---


### 5


 剣が振り下ろされる瞬間、ゼフィルスが割って入った。

 刃と刃がぶつかり、火花が散る。


「陛下に手を出させはせぬ!」


 橋の上で激しい戦闘が始まる。

 僕はただ立ち尽くし、アレンの瞳を思い返していた。


 あの眼差し。敵意だけじゃなかった。

 問いかけるような、不安を探るような光。


(勇者……君も、迷ってるんだな)


---


### 6


 結局その場はゼフィルスの加勢で勇者一行が退却し、僕は命拾いした。

 けれど胸の奥に残ったのは安堵ではなく、重たい余韻だった。


「……もし勇者と二人きりで言葉を交わせたら……」


 思わず呟く。

 それが敵を欺くためか、真実を分かち合うためか、自分でも分からなかった。


---



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