第10章 勇者の剣は何を斬る
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閃光の中で、レオンの剣が振り下ろされた。
その刃は――枢機卿ではなく、鐘楼を支える鎖に叩きつけられた。
轟音とともに鐘楼の一部が崩れ、枢機卿の足元が揺らぐ。
群衆の瞳が驚愕に見開かれる。
「……な、何をしている、勇者よ!」
枢機卿が怒声を上げる。
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レオンは剣を構え直し、はっきりと宣言した。
「俺の剣は……人を縛るものを斬る!」
「神でも、教会でもない。人の自由を奪う鎖を、俺は断ち切る!」
その言葉は、広場全体を震わせた。
人々の濁った瞳が一瞬だけ揺らぎ、かすかな理性を取り戻し始める。
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### 3
枢機卿は狂気の笑みを浮かべ、杖を振りかざした。
「愚か者が……! ならばその意志ごと滅ぼしてやろう!」
鐘楼から放たれる光が、槍のようにレオンへ襲いかかる。
彼はとっさに聖剣で受け止めたが、その衝撃に膝をついた。
「ぐ……あぁっ!」
眩い光が彼を押し潰さんと迫る。
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### 4
その瞬間、リオネルが飛び込み、剣で光を弾いた。
「立て、レオン! お前の選んだ道を、ここで折るな!」
続いて僕が詠唱を紡ぎ、闇の障壁を展開する。
光と闇がぶつかり合い、火花のような衝撃波が広場を震わせた。
ミレイアも声を張り上げる。
「お願い……勇者様! あなたの選択を、信じさせて!」
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### 5
レオンは歯を食いしばり、再び剣を掲げた。
彼の聖剣は淡く輝き、その光は先ほどまでの混迷を払うかのように清らかだった。
「俺は……俺はもう、迷わない!」
剣が振り抜かれ、鐘楼の輝きを真正面から切り裂いた。
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### 6(ラスト)
爆発的な衝撃が広場を包む。
鐘楼が崩れ落ち、枢機卿の姿が光の中に消えていった。
やがて静寂が訪れる。
レオンは荒い息を吐きながら、なおも剣を握りしめていた。
「これが……俺の選んだ勇者の道だ……」
その言葉に、人々の瞳から少しずつ濁りが消えていった。
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