第9章 枢機卿の裁き
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鐘楼の上に立つ枢機卿は、両腕を大きく広げていた。
その姿はまるで神の代行者のようでありながら、その眼光には冷たい狂気が宿っていた。
「民よ……疑念は罪、迷いは穢れ。
我らの教えを疑う者こそ、魔王の手先である!」
彼の声は光と共鳴し、人々の心を絡め取っていく。
濁った瞳が次々と枢機卿に向けられ、群衆は一斉に跪いた。
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レオンは剣を握りしめ、声を張り上げた。
「やめろ! 人々を操るな!」
だが群衆は耳を貸さない。
「勇者様……枢機卿を守ってください……」
「魔王を、倒してください……」
その声は懇願でありながら、どこか人間らしさを失っていた。
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### 3
リオネルが低く呟いた。
「……これは洗脳だ。光に心を縛り、自由を奪っている」
僕は眉をひそめ、枢機卿を睨む。
「人を救うふりをして、人を操る……これが教会のやり方か」
ミレイアが怯えた声で囁く。
「このままじゃ……王都の人たち全員が……」
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### 4
枢機卿は冷酷な笑みを浮かべた。
「勇者レオンよ。選べ。
この場で魔王を討ち、民を導くか――
あるいは逆賊として、我が光に焼かれるか」
その言葉に応じるように、鐘楼の光がさらに強く輝き始める。
焼けるような圧力が広場全体を覆い、人々は苦悶の表情を浮かべながらも頭を下げ続けていた。
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### 5
レオンは震える手で聖剣を掲げる。
「俺は……勇者として……」
その瞬間、リオネルが叫んだ。
「レオン! お前は自分の心で決めろ! また奴らに選ばされる気か!」
広場の空気が張り詰める。
レオンの決断一つで、この場が地獄にも救いにも変わる。
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### 6(ラスト)
枢機卿の声が再び轟いた。
「さあ、勇者よ! 裁きの時だ!」
光が爆発する。
群衆が歓喜と恐怖の声を上げる中――
レオンの聖剣が、ついに振り下ろされた。
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